【AIM-120】(えーあいえむひゃくにじゅう)

AIM-120 AMRAAM(アムラーム)(Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile,改良型中射程空対空ミサイル)

AIM-7「スパロー」の後継として1979年から開発された中距離AAM
その性能要求の高さから開発は難航、実戦配備は1990年代に入ってからであった。
開発名称のAMRAAM(アムラーム)と呼ばれる事が多いが、slammer(スラマー)という非公式な愛称を持つ。
ヒューズ・ミサイル・システムズ(現レイセオン社)が生産を行っている。

前世代のAIM-7セミアクティブレーダー誘導だったのに対し、アクティブレーダー誘導を採用。
ミサイル自体にレーダーを内蔵する事によって撃ちっ放し能力を実現した。
ただし、内蔵レーダーは重量・容積の制限が厳しく、また毎回使い捨てにするため予算面でも厳しく、性能は母機のレーダーよりも劣る。
自律的に動けるのは最後の数kmの終端誘導のみで、発射直後は慣性誘導データリンクによる中間誘導が必要。

AIM-7に比べて小型軽量化もなされており、弾体の機動性が向上している。
短射程ミサイル用のランチャーへも装填可能となり、目視外戦闘のみならずドッグファイトへの適応性も増した。

後方互換性を念頭において設計されており、AIM-7が搭載できる機体であれば無改造で搭載できる。
これにより、F-4F ICEなどの機体も胴体下の半埋め込み式ランチャーにAMRAAMが搭載可能となっている。
同様にF-14にも搭載が可能であり、海軍による搭載テストも良好であったが「必要なし」として搭載は見送られている。

実戦においての実績は非常に高くカタログスペック通りの信頼性をみせている。

F-15F-16など米軍機以外にも、ユーロファイター タイフーンサーブ 39 グリペンなどにも搭載が可能である。

関連:アムラームスキー

スペックデータ

全長3.65m
直径18cm
翼幅44.7cm(前部動翼)
62.7cm(後部動翼)
重量152kg
最大射程
(公表値)
75km(A/B型)
105km(C型)
180km(D型)
速度マッハ4.0
推進方式固体推進ロケットモーター
エンジンハーキュリーズ WPU-6/Bロケットモーター
弾頭HE指向性破片効果弾頭
弾頭重量7.26kg
誘導方式INS+COLOS?中間誘導
ARH終末誘導


主な搭載機

バリエーション

  • AIM-120A:
    初期型。誘導装置にWGU-16/Bを用いる。
    すでに生産は終了。

  • AIM-120B:
    現行型。
    ソフトウェアの変更やECCM能力の強化が施されている。
    誘導装置はWGU-41/Bに換装されている。

  • AIM-120C:
    F-22F-35用モデル。
    同機の特徴である機体内ウェポンベイに搭載するためB型の前方フィンの幅を短くしている。
    誘導装置はWGU-44/Bを用いる。
    • AIM-120C-4:
      弾頭威力増強型。
    • AIM-120C-5:
      推進ロケットモーターの大型化や誘導部の小型化、ECCM能力をアップグレードした型。
    • AIM-120C-6:
      目標探知装置 (TDD) をアップグレードした型。
    • AIM-120C-7:
      新型レーダー・アンテナや改良型シーカーの搭載、誘導装置の改良などを施した型。

  • AIM-120D:
    最新型。
    GPS/INSの装備やECCM能力強化のほか、双方向データリンクの追加によりAWACS?を通じた発射諸元の中間アップデートを可能とした。
    射程も100km(または165km)に延伸されている。

  • SLAMRAAM:
    AIM-120の地対空ミサイル型。HMMWVに搭載される予定。
    • NASAMS?*1
      ノルウェーとアメリカが開発したSLAMRAAMを使用する中高度防空ミサイルシステム。
      西側諸国で初めてアクティブレーダー誘導を用いた地上発射ミサイルシステムでもある。
      アメリカのほか、スペインやオランダ、フィンランドで採用された。

  • FMRAAM*2
    ラムジェットエンジンを搭載し、射程の延長を図った型。
    ECCM能力の強化やシーカーの小型化、RCSの低減、双方向データリンク機能の追加などの改良がされる予定であった。
    1990年代にユーロファイター・タイフーン用次世代ミサイルとして提案されたが、ミーティアと競合したため計画はキャンセルされた。


*1 Norwegian Advanced Surface to Air Missile System.
*2 Future Medium Range Air-to-Air Missile(将来中距離空対空ミサイル)の略。

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