【AFN】(えいえふえぬ)

The American Forces Network.
世界各地のアメリカ軍基地に設置されている、基地関係者(駐留部隊将兵・軍属・現地人労務者)とその同居家族向けの放送局。
日本国内(在日米軍向け)で提供されていたサービスは1997年まで「FEN(Far East Network)」と呼ばれていた。

各局はれっきとしたアメリカ軍の一部隊でもあり、放送を担当するのは"Broadcast Journalist"と呼ばれる現役の下士官・兵卒*1が主である。

放送は基地内向けには有線、基地外部には中波(AM)・短波または超短波(FM)で送信される。*2
また、テレビ放送を行っている局もあるが、周波数がアメリカの規格であるため、日本国内で販売されているテレビではごく一部を除いて受信できない。

後述の通り、沖縄局で使用している「US8チャンネル」は日本のアナログ(VHF)6チャンネルとほぼ同じ帯域であるため、日本製のテレビでも視聴できる(ただし沖縄本島の一部の世帯に限る)が、岩国局や佐世保局では、日本の規格とは異なる帯域である「US66チャンネル」で放送しているため日本では視聴不可。

日本国内のAFN

日本国内のAFNは全て空軍の管轄下にあり、次の各局が設置されている。

  • 東京局(AFN Tokyo. Eagle810)
    東京都・横田基地所在(空軍第10報道分遣隊)。
    ラジオ:AM810kHz・出力50kw。*3
    横須賀海軍基地内に、同基地や第7艦隊(太平洋艦隊)所属艦艇を取材対象とするニュース制作のための支局がある。
  • 三沢局(AFN Misawa. The Edge,1575)
    青森県・三沢基地所在(空軍第12報道分遣隊)。
    ラジオ:AM1575kHz・出力600w。
  • 岩国局(AFN Iwakuni. Power1575)
    山口県・岩国基地所在(空軍第13報道分遣隊)。
    ラジオ:AM1575kHz・出力1kw。
    テレビ:US66チャンネル(日本では視聴不可)
  • 佐世保局(AFN Sasebo. Thunder Radio)
    長崎県・佐世保基地所在(空軍第14報道分遣隊)。
    ラジオ:AM1575kHz・出力250w。
    テレビ:US66チャンネル(日本では視聴不可)
  • 沖縄局(AFN Okinawa)
    沖縄県・嘉手納基地所在(空軍第11報道分遣隊)。
    ラジオ:AM648kHz・出力10kw(Surf 648)/FM89.1MHz・出力20kw(Wave 89)。
    テレビ:US8チャンネル(日本のアナログ6チャンネルとほぼ同じ)

主な放送番組

  • ラジオ
    • ニュース番組(AFNや軍制作のもの、または米国内民放の再送信)
      軍やAFN制作の番組は、部隊の活動や基地内での出来事を事後報告するものが大半。
    • 駐留部隊将兵向けの啓蒙メッセージ
      (日本では「地域における米兵の心構え」や「日本生活における注意点」など)
    • 生活情報(映画・フリーマーケットなど)
    • 基地内でのルール・施設の運営時間の説明、福利厚生施設の利用に関するアドバイス
      基地の司令官や上級曹長が出演して行う。
    • 気象情報*4・為替レート情報*5
    • 緊急告知放送(災害・治安関連)*6
    • 音楽番組(自局制作のもの、または米国内民放の番組再送信)
  • テレビ
    下記のような独自番組も制作されているが、大部分は米国内民放の番組を再送信したものである。
    • ニュース番組(ラジオと同様、世界各地のAFNや駐留部隊が制作したもの)
      この中には軍高官の報道発表や大統領関連の特番もある(後述)。
    • フィットネス・料理教室など、主に同居家族向けの生活関連番組

この他、大統領関連の重大な報道特別番組(大統領就任式や議会における一般教書演説など)をアメリカ本土から中継することもある。


*1 陸軍海兵隊及び空軍では「広報科(Public Affairs)」、海軍では「報道科(Mass Communications Specialist)」という兵科に属している。
*2 基地外部への放送は「機器メンテナンス」などの理由により、昼間時間帯でも予告なく停波する場合がある。
*3 送信所は埼玉県・朝霞市にある。
*4 軍の気象部隊の観測による情報のため、駐留国内の気象観測機関の予報とは異なる場合がある。
*5 基地内の両替施設での米ドルと現地通貨の交換レートであり、金融機関が発表する一般的な「外国為替レート」とは異なる。
*6 2001年の9.11事件の際、日本の基地では英語のわからない日本人労務者向けに日本語放送も行われた。

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