【AA-12】(えーえーじゅうに)

旧ソ連/現ロシアのヴィンペル社が開発した、現在東側最新の中射程空対空ミサイル
NATOコードは、AA-12「アッダー*1」で、ロシアではR-77 RVV-AE(ロシア語で「アクティブ空対空ミサイル」の略)、またアメリカ製のAIM-120「アムラーム」に似ている事から「アムラームスキー」とも言われている。

AA-12は、R-27(AA-10「アラモ」)の後継として1982年頃から開発が始まり、当時旧ソ連では最新鋭の技術が数多く取り込まれた。

一つ目は撃ちっ放し能力で、アクティブレーダー誘導を採用した(AA-10AEと言うアクティブ誘導型は、当時開発段階のAA-12の技術を流用したと言う不特定情報がある)事で母機の誘導なし追尾が可能。

シーカーは2つの操作モードがあり、短距離では「撃ちっ放し」モードを起動し、長距離では指令誘導と慣性誘導を併用し、ターゲットとの距離が20km以内になると「アクティブレーダー」モードが自動で起動する。
また、ターゲットからロックオンが外れた際は、ホストレーダーシステムがターゲット情報を保持するようになっている。

さらに電子戦機ジャミング航空機チャフECMの防御策であるECCM能力に優れており、反対にECMを利用してジャミングがかかるとその発信源に飛翔する能力を持っている。
なお、アクティブレーダー誘導終端誘導のみで中間誘導慣性誘導+データリンクを使用している。

二つ目は尾翼で、OTR-21「トーチカ(SS-21)」短距離弾道ミサイルの技術を流用し、最大旋回率は150°毎秒で120G以上の機動が可能である。

三つ目は推進装置で、ヴィンペル社の公式発表によると最大射程は100km(実際には諸説あり、90km程度ともいわれている)。
さらに固体燃料ラムジェットエンジンを搭載したPD型は最大射程が160〜200kmあるという。
このように新機能を多く搭載したAA-12は、1994年から配備が開始されている。

なお、インドや中国・イラン等はAA-12に関心が高く、特に中国に関してはAA-12の技術支援を流用した国産の霹靂12を製作し配備している。

AA-12.jpg

Photo:India air force

関連:アムラームスキー AA-10 [AIM-120]]

主な搭載機

カタログスペック

全長3.58m
直径20cm
翼幅45cm
発射重量175kg(R-77)/226kg(R-77M1)
弾頭HE 指向性破片威力弾頭(弾頭重量30kg)
信管レーザー近接信管
最大速度M4.5以上
射程50〜100km
飛行高度20〜25km
G限界5G
推進方式固形燃料ロケットモーター(R-77)/ラムジェットエンジン(R-77-PD)
誘導方式慣性+データリンク中間誘導)/アクティブレーダー誘導終端誘導


主な種類

  • R-77(RVV-AE):
    初期型。
    • R-77E(RVV-AE-E):
      輸出用ダウングレード型。
    • R-77T(RVV-TE):
      赤外線誘導型。
    • R-77P:
      パッシブ誘導型。
      シーカーは25km先の目標を捕捉できるとされる。

  • R-77-PD(RVV-AE-PD):
    推進方式をラムジェット推進に変更した射程距離延伸型。
    ミサイルは弾体が太くなり、中央部に4カ所のエアインテイクを備えている。
    1989年に、最初の設計研究が締結され開発が始められたが、予算不足とさらなる発展のために、MBDAとの合弁で開発が行われ、1994年に開発が完了した。
    しかし、量産はされていない。

  • R-77-SD(RVV-SD):
    ECCM能力向上型。



*1 Adder:マムシの意味。

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