【AA-11】(えーえーじゅういち)

旧ソ連のヴィンペル社が開発した、現在最新の第5世代短射程空対空ミサイル
NATOコードはAA-11「アーチャー(Archer)」、ロシアではR-73と呼ばれている。

AA-11は、世界初のヘルメット・マウンテッド・サイトを搭載した空対空ミサイルで、R-60の後継として1970年代から開発がスタートした。
ヘルメット・マウンテッド・サイトの搭載により、オフボアサイト能力を獲得し、機体側のIRSTとリンクさせることで、ミサイルの照準軸から大きく外れた目標や後方にいる目標とも交戦可能で、その性能の高さは西側諸国を驚かせた。
それ以外にも推力偏向装置や広角シーカーの搭載により、運動性や目標の捕捉性に優れている。
ミサイル本体に搭載されたシーカーで目標位置を確認してからの発射や母機のセンサーで捕捉した目標に対しての発射も出来る。

ロケットモーターの燃焼中はガス作動の前方制御翼と噴射ガスで作動する2組のガス・ダイナミック式スポイラーの組み合わせで、最大12Gで運動中の目標と交戦可能。
燃焼が終わった後は前方の空力制御翼面だけでミサイルを制御する。
誘導は赤外線誘導オールアスペクト発射能力を持ち、誘導性はかなり高い。

1984年から旧ソ連軍に配備されたほか、旧東ドイツのほか多くの国に輸出された。

1997年に配備が開始された改良型のR-73M2(R-74EMとも)では、AIM-9Xなどと同様のフォーカル・プレーン・アレー(FPA)型赤外線センサーを導入することで赤外線画像誘導方式とされた。
また、より長い射程、より広いシーカーアングル(60度)を持ち、IRCCM能力も強化されている。

R-73A.jpg

Photo India air force

主な搭載機

カタログスペック

全長2.90m
直径17cm
翼幅51cm
発射重量105kg(R-73)/110kg(R-73E)
最大速度M2.5
射程30km(R-73)/40kg(R-73E)
飛行高度20km
推進装置推力ベクトリング付き固体燃料ロケットモーター
誘導方式オールアスペクト赤外線誘導
弾頭HE 連続ロッド(7.4kg)
信管アクティブレーダー信管
発射時のG限界8G


主な種類

  • R-73A:
    初期型。

  • UZR-73:
    訓練用ミサイル。
    推進剤を搭載しない代わりにアクティブシーカーを搭載する。

  • R-73E:
    射程20kmの改良型。
    飛行状況センサーを4つに増やしたほか、シーカー・推進装置を改良している。

  • R-73EL:
    E型の輸出型。
    レーザー信管を搭載している。

  • R-73M(R-73M1):
    A型の改良型。
    射程は20kmに伸びている。

  • R-73M2(R-74EM):
    M1型の改良型。
    シーカーアングルが60度に拡大されたほか、誘導方式が赤外線画像(IIR)方式に変更され、IRCCM能力が向上している。
    また、射程は30kmに伸びている。

  • R-74:
    M2の改良型。
    シーカーアングルが75度に拡大された。

  • R-74M:
    シーカーを再プログラムできるようにした型。

  • K-74ME:
    試作型。
    射程は40kmらしいが、詳しい事は分かっていない。

  • 9M100:
    R-73ベースの個艦防空用の艦対空ミサイル型。


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