【A350】(えーさんごーまる)

Airbus A350.

2004年12月10日にエアバス社が開発を発表した大型双発ジェット旅客機
当初、ボーイング社製のB787に対抗しうる中型機として、A330をベースに開発することとなっていたが、ユーザーから「これではA330の焼き直しに過ぎない」という批判があり、B787に比して受注が伸び悩むこととなった。

なお、当初に出されていたコンセプトはA330の改良型「A330neo」に受け継がれた。

その後、エアバス社は当初の設計を大幅に改め、大型の機体とした「A350XWB*1」を発表。
2013年5月に試作初号機がロールアウトし、ローンチカスタマーとなるカタール航空には2014年12月に量産1号機が引き渡されている。

日本では日本航空が「老朽化したB767及びB777の代替」として31機を発注(他25機をオプション)しており、2019年度から就航した*2

なお、本機は日本航空の運航機材で初めて操縦系統にサイドスティックを採用した機体となった*3

これ以前の2014年、日本国政府専用機(初代)の後継機候補にも挙がっていたが「日本とアメリカとの同盟関係」や「エアバス社と日本との接点*4」「運航支援体制の確立が困難*5」「トータルコストが高くなる*6」などの理由でB777-300ERに敗れている。

主なオペレーター(2022年4月現在)

国名オペレーター名A350-900A350-1000合計
ロシアアエロフロート・ロシア航空7機7機
グアドループエア・カライベス3機1機4機
中国中国国際航空
(エア・チャイナ)
10機10機
中国東方航空7機7機
中国南方航空6機6機
海南航空2機2機
四川航空4機4機
フランスエールフランス5機5機
フレンチ・ビー3機3機
モーリシャスモーリシャス航空2機2機
韓国アシアナ航空11機11機
イギリスブリティッシュ・エアウェイズ6機6機
ヴァージン・アトランティック航空4機4機
香港キャセイパシフィック航空24機12機36機
香港航空2機2機
中華民国チャイナエアライン
(中華航空)
14機14機
アメリカデルタ航空9機9機
エチオピアエチオピア航空14機14機
スペインエベロップ航空2機2機
イベリア航空6機6機
フィジーフィジー・エアウェイズ2機2機
フィンランドフィンエアー
(フィンランド航空)
15機15機
日本日本航空16機16機
ブラジルLATAM ブラジル
(元 TAM航空)
10機10機
ドイツルフトハンザドイツ航空16機16機
ドイツ空軍*71機1機
マレーシアマレーシア航空6機6機
フィリピンフィリピン航空6機6機
カタールカタール航空39機15機54機
スカンジナビアスカンジナビア航空3機3機
シンガポールシンガポール航空48機48機
タイタイ国際航空12機12機
ベトナムベトナム航空14機14機


スペックデータ

タイプA350-800A350-900A350-900RA350-900FA350-1000
乗員2名(機長副機長
乗客数
(3クラス/2クラス)
270名/312名314名/366名310名/--350名/412名
貨物搭載量-90t-
全長60.7m67.0m74.0m
全高16.9m
胴体幅596cm
キャビン559cm
最大離陸重量248t268t298t
最大燃料搭載量129,000L141,000L-156,000L
エンジンロールス・ロイス トレントXWBターボファン×2基
エンジン推力74,000lb83,000lb92,000lb
就航速度M0.85
航続距離15,400km15,000km17,600km9,250km14,800km


A350の派生型

  • A350-800:
    基本の短胴型。2016年5月計画中止*8
    3クラスで270座席、航続距離15,400km。

  • A350-900:
    標準胴体型。
    3クラスで314座席、航続距離15,000km。

    • A350-900R:
      A350-900の航続距離延長型。
      想定航続距離17,600km。

    • A350-900ULR:
      シンガポール航空の要請により開発された、シンガポール〜北米間直行運航可能な超長距離路線仕様機。
      想定航続距離17,964km。

    • A350-900F:
      A350-900の貨物機型。貨物搭載量90t。

  • A350-1000:
    A350-900の胴体延長型。
    3クラスで350座席、航続距離14,800km。

  • ACJ350 XWB:
    プライベートジェット機仕様。
    航続距離は20,550kmで、25人の搭乗で22時間以上飛行可能とされ、2019年にドイツが政府専用機として3機発注している。


*1 Extra wide Bodyの略。
*2 一方、全日本空輸は同目的でB777-9の導入を計画している。
*3 これ以前に日本エアシステムから引き継いでいたA300は操縦系統に操縦輪を用いていた。
*4 当時、全日本空輸スターフライヤーピーチ・アビエーションバニラエアA320を、スカイマークA330を導入していたが、フラッグキャリア日本航空には機材を納入していなかった。
*5 日本航空が本機を発注したのはこの後であった。
*6 B-747-400操縦輪方式からサイドスティック方式への転換にコストがかかる、など。
*7 政府専用機として運用(3機導入予定)。
  なお、航空会社以外での運用は同空軍が初となった。

*8 A330の派生型A330-900neoと機体規模が重複するため。

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