【A300-600ST】(えーさんまるまるろくまるまるえすてぃー)

Airbus A300-600ST(Super Transporter) "Beluga"
エアバスインダストリー社が、A300-600Rをベースに開発した大容積物品輸送用の貨物機で、1996年1月に就航を開始している。

それまでエアバスでは、自社製航空機の胴体・主翼などの大容積貨物を欧州各国の協力会社からフランスの最終組立工場へ輸送するのに、アメリカ製の四発ターボプロップ貨物機「エアロ・スペースライン"スーパーグッピー"」を使ってきたが、原設計が1940年代の機体であり、老朽化・陳腐化が著しかった同機を代替するために開発された。

ちなみに「スーパーグッピー」は、元々ボーイング社が1940年代に開発したレシプロ旅客機「モデル377」*1をベースに、宇宙ロケットなどの大容積貨物を運搬するために改造した機体である。
このため「すべてのエアバスはボーイングの翼によって届けられた」とも揶揄されていた。

大容積貨物の搭載に特化された機体デザインと白を基調とした塗装から、通称「ベルーガ」(白イルカ)とも呼ばれ、スーパーグッピーに代わってエアバス社の機体生産を支えている。*2

また、1996年8月にはエアバス・トランスポート・インターナショナル(ATI)という、本機の運用母体となる会社が設立され、本来任務であるエアバス製コンポーネントの輸送以外にも業務内容を拡張している。
これまでに宇宙関連製品、軍用機材、ヘリコプター、宇宙ステーションの機材、絵画などを輸送した実績を持つ。

参考リンク(http://www.airbusjapan.com/media/a300_600st.asp

スペックデータ

乗員:2名(機長副操縦士
全長:56.16m
全高:17.34m
全幅:44.84m
エンジン:GE CF6-80C2A8 ターボファン推力26.7t)×2基
最大離陸重量:155t
最大積載量:45.5t
貨物室床面積:約100m²
貨物室容量:約14,000m³


*1 アメリカ軍でも「C-97『ストラトフレイター』」として使われていた。
*2 なお、エアバスのライバルであるボーイング社にも「B747LCF」という、本機と同様の設計コンセプトで作られた機体がある。

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