【96式装輪装甲車】(きゅうろくしきそうりんそうこうしゃ)

元来、「装輪式戦闘車両は装軌式に比べ能力に劣る面が多い」としてあまり積極的に採用しなかった陸上自衛隊だが、ここ数年の技術の向上、また過去の装軌式装甲車(60式装甲車73式装甲車)をまとめて刷新する事を目的に「安価に、大量に生産できる」事を優先に開発、1997年に制式化された日本初の本格的な装輪式APCである。

愛称は「クーガー」であるが、隊員からは「96」や「96W」、「96WAPC」や「WAPC」などと呼ばれる事が多い。
車体はアルミ合金(アルミは初期型のみで、最近の生産型は圧延鋼板に成っているという資料もある。)一体溶接構造の箱形で、名前の由来とも言えるタイヤを8輪備え、前4輪を操舵する様に成っている。
防御力は公表されていないが小銃弾や砲弾の破片程度なら十分に防護できると推定されている。
走破性を高める為、8輪総てが駆動輪でタイヤ径は大きく、また、コンバットタイヤを採用しているため数輪がパンクしてもある程度は走行可能である。
加えて「CTIS(中央タイヤ圧システム)」と呼ばれる空気圧調整装置を備えているため状況に応じ、路面の状態に合わせた空気圧を変更することが可能である。
尚、乗員は10名。

武装はこのクラスのAPCとしては貧弱(もっとも取得性を高めるためのコストダウンの可能性が高いが)でM2、または96式40mm自動擲弾銃を選択装備可能である。

欠点として床板にケブラーを貼る等地雷対策をしていないため触雷に脆い可能性がある事、側面窓の防御上の問題(防弾ガラスになっているが装甲板より強度に劣る)がある。
但し隊内での運用方法は敵を撃破した後に隊員を乗せて移動する為の車両とされており、武装、防御共に「不具合」とはしていない。

全般的に「可もなく不可もなし」の車両だが、隊員には極めて好評であると言われ、また過去の陸上自衛隊APCと比べると取得性が高く(年間30両)、長年の悲願だった「全普通科部隊の自動車化」を実現したい陸自にとっては待ちこがれた車両とも言える。

参考リンク: http://www.mod.go.jp/gsdf/html/soubi/bottom/syaryou/kaisetu/96sorinsoko.html

http://www4.plala.or.jp/klesa108/diary/20070429/96recon.jpg


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