*&ruby(はちきゅうしきしょうじゅう){【89式小銃】}; [#te522cd3]
[[64式小銃]]の後継として[[豊和工業]]が開発・生産している、[[自衛隊]]の制式[[自動小銃]]。~
1978年に開発が開始され、「HR16」として完成した後、1989年に89式小銃として制式採用された。~
事実上の[[愛称]]は「はちきゅう」。((公募によって決まった「&ruby(バディ){BUDDY};」という[[愛称]]があるが、[[自衛隊]]兵器の例に漏れず、公的な[[愛称]]はほぼ広報でしか通用しない。))~
[[自衛隊]]の他に[[海上保安庁]]や警察でも使用されている。~
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本銃の設計にあたっては、アーマライト社の[[AR-18]]がベースとされた。~
[[64式小銃]]との主な相違点は以下の通り。
-[[鉄]]材の削り出し加工を廃止してプレス加工を多用
-銃床や銃把などを強化樹脂で成形
-弾丸の小口径化および[[NATO>北大西洋条約機構]]標準弾との互換化
-構造の単純化による整備性の向上
[[カタログスペック]]でみれば、世界的に見ても高水準な小銃の一つで、日本人の体格に合わせて設計されているため取り回しも良い。~
アメリカで行われた[[アメリカ陸軍]]の兵士によるテストでも命中率の高さ、耐久性などが高く評価された。~
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しかし、[[武器輸出三原則等]]を掲げる日本の政治的事情から、[[費用対効果>コスト・パフォーマンス]]が絶望的に低い（一挺辺りの単価は平成17年度時点で32万円で、[[M16>M16（小銃）]]の約10倍）。~
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発射方式は[[フルオート]]、[[セミオート]]、三点[[バースト]]の切り替えが可能。~
[[バースト]]機能はユニット式で、取り外して[[セミオート]]と[[フルオート]]だけにする事も可能。((セレクターレバーは「ア、レ、３、タ」、つまり安全装置、連射([[フルオート]])、３点射([[バースト]])、単発([[セミオート]])の順。&br; 人間工学的に「ア、タ、３、レ」や「ア、タ、レ、３」と並べた方が効率的ではないかという指摘もある。))~
一般的な[[自動小銃]]とは異なり、セレクターレバーは右側に取り付けられている(([[陸上自衛隊]]では[[匍匐]]前進の際に銃の左側を下に向けるため、普通の小銃では地面とレバーが接触してしまう。&br; また、担いで歩く際に衣服とレバーが接触しないようにする意図もある。))。~
イラク復興支援部隊用として調達されたバリエーションでは左側にもレバーが追加されたが、派遣終了後は通常仕様に戻された。~
しかしその後、市街地戦闘訓練を経た改善として、再び左方切換レバーの取り付けが始まっている((何故そのような経緯を辿ったのかはよくわからない。&br; もっとも、兵器の開発・改修計画が部外者には全く理解不能な経緯を辿るのは珍しい事ではないが。))。~
また、この改修と同時に切換レバーとの干渉を避ける溝をつけたタイプの銃床の配備も行われている。~
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使用弾薬は[[NATO>北大西洋条約機構]]の第二標準弾「SS109」（5.56mmx45）との互換性を持つ「89式弾薬」。~
弾倉は箱型で、アメリカ軍の[[M16>M16（小銃）]]などの弾倉を流用する事も可能。~
反動の少なく軽量な高速小口径弾であり、携行弾数も多いが、長距離の[[狙撃]]には向かない。~
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作動方式はガス圧を動力にピストンで駆動させるガスピストン方式であるが、これは、燃焼ガスによる機関部の汚濁に配慮して採用したとの事である。~
フロントサイト下にあるガスレギュレータを調整する事で、[[アダプター>ブランク・アダプター]]を用いずに[[空砲>空包]]が撃てる。~
また、銃の前部に89式多用途[[銃剣]]、銃口に06式[[小銃擲弾>擲弾]]が装着できる。~
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バリエーションとして固定銃床型の他に、[[空挺部隊]]や戦車乗員用の折り曲げ銃床型がある。~
また、短銃身仕様や[[分隊支援火器]]仕様も試作されたが、正式採用には至らなかった。~
補器装着は想定されていないが、サイトロン・ジャパン社などが本銃用に規格をあわせた補器類を販売している。~
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**性能諸元 [#k5909554]
|口径|5.56mm|
|全長|約920mm（固定銃床型）/約670mm（折曲げ銃床型）|
|銃身長|420mm|
|重量|3.5kg（弾倉除く）|
|ライフリング|6条右転|
|使用弾薬|89式5.56mm普通弾|
|装弾数|20発/30発（箱型弾倉）|
|作動方式|ガス圧利用（緩衝撃ピストン）式ターンロックボルト|
|銃口初速|920m/秒|
|発射速度|850発/分（最大）|
|有効射程|500m|
|製作|豊和工業|
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Photo: JGSDF
