【74式特大型トラック】(ななよんしきとくおおがたとらっく)

1974年、自衛隊で使用する汎用輸送車両として防衛庁(当時)に制式採用された大型トラック。
三菱グループの一社である「三菱ふそうトラック・バス」社が製造を担当している。
正式名称としては「7tトラック」と呼ばれる*1

本車は三菱ふそうの代表的な汎用貨物車(Fシリーズ、「ザ・グレート」及び「スーパーグレート」)を自衛隊仕様に改修したものである。
陸上自衛隊の要求性能に合わせるために駆動方式を総輪駆動とし、最低地上高を高くするなど車体やエンジン、ヘッドライトの位置等を改造・変更しているが、灯火器などの保安装置はベース車に準じている。

主に陸上自衛隊の各部隊に配備されており、派生型もさまざまで81式自走架柱橋92式浮橋などがある。
また、航空自衛隊でも高射部隊が装備するパトリオットの発射機牽引車や射撃管制装置の搭載車として用いられている。

スペックデータ

乗員2名
全長8,130mm/9,245mm(ロングタイプ)
全高3,060mm
全幅2,490mm
車両重量11,280kg/10,990kg(ロングタイプ)
積載量8,250kg/人員21人
8,750kg/人員35人(ロングタイプ)
最高速度95km/h
エンジン出力355ps
製作三菱ふそうトラック・バス


バリエーション

  • 7tトラック(短):
    小回りをよくするために全長を若干短くした型。

  • ロングタイプ:
    通常より全長が9,245mmに延長されている。

  • 特大型ダンプ:
    3トン半ダンプよりも最大積載量が3,250kg多い。
    主に施設科に配備されており、災害派遣などで目にすることが出来る。

  • 中砲牽引車:
    FH70榴弾砲を牽引するための車。
    主にFH70が配備されている野戦特科部隊に配備される。
    キャビン後方に作業機(クレーン)がついており、弾薬の積み降ろしに使用する。

  • 重レッカ:
    主に特科機甲科部隊や後方支援連隊等に配備され、戦闘車両の整備などに使用される。
    最大吊り上げ能力10,000kgのクレーンのほか、車体前部のバンバーにウインチを備える。

  • 81式自走架柱橋
    架橋車両。詳しくは項を参照。

  • 92式浮橋
    架橋車両。詳しくは項を参照。

  • 07式機動支援橋
    架橋車両。詳しくは項を参照。

  • 対砲レーダ装置 JTPS-P16
    主に野戦特科部隊が装備する対砲レーダー。詳しくは項を参照。

  • パネル橋:
    施設科装備。運搬車は本車をベースにしている。

  • 7tトラック(パネル橋MGB用):
    施設科装備。
    車体前方のバンパーに橋体の押出用のフックがつけられている。

  • 88式地対艦誘導弾
    地対艦ミサイル発射機。詳しくは項を参照。

  • 粉末散布車/液体散布車:
    化学消防車。
    重要な施設、装備品等の消火に使用される。
    中央特殊武器防護隊(大宮駐屯地)にのみ配備。

  • 10,000リットル燃料タンク車:
    補給車。主にヘリコプターへの燃料補給に使用される。

  • 73式特大型セミトレーラー(牽引車):
    戦車トランスポーター。
    主に輸送科部隊が装備し、戦車などの装軌車を運搬する。

  • 中型セミトレーラー:
    73式セミトレーラよりも一回り小さいトレーラー。
    主に輸送科部隊が装備し、施設科部隊の重機車輌をはじめ、60式/73式装甲車などの装軌車を運搬する。

  • 地対空誘導弾ペトリオット
    発射機の牽引車のほか、射撃管制装置の搭載車として使用されている。


*1 「製造コストの削減」「部品の共通化」「民生品の活用」の観点から「制式化」の対象から外され「部隊使用承認」の形で用いられているため。

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