- 追加された行はこの色です。
- 削除された行はこの色です。
*&ruby(ななよんしきせんしゃ){【74式戦車】}; [#c05453c2]
[[61式戦車]]に代わる、[[陸上自衛隊]]の主力戦車。~
1964年に基礎開発が開始され、1974年9月に正式採用された。~
設計思想は[[61式戦車]]と同じく、待ち伏せ主体の[[戦車駆逐車]]のような運用を考えられている。~
1964年に開発が開始され、1974年9月に[[陸上自衛隊]]に[[制式]]採用された[[主力戦車]]。~
1975年から1989年にかけて873両が配備された。~
~
車体は全溶接、砲塔は鋳造と[[61式戦車]]を踏襲しているが、形状はより低く滑らかな[[避弾径始]]となり、遙かに洗練された。~
主砲はロイヤルオードナンス社製51口径105mm砲L7A1x1（日本製鋼所にて[[ライセンス生産]]・携行弾数50発）、副装備に[[M2]]12.7mm重機関銃、主砲同軸に7.62mm74式車載機関銃を装備、また主砲に[[スタビライザー]]が搭載され[[行進間射撃]]も可能となった。~
[[火器管制装置]]も大幅に強化され、車長用照準装置に[[レーザーレンジファインダー]]、砲手用照準装置に[[テレスコープ]]と[[ペリスコープ]]を装備する。~
通常、車長が標的を照準しその目標データを車載された[[弾道計算機]]に入力、射撃する。また砲塔横に赤外線照射装置を搭載、夜戦能力も持った（しかし、現在では夜間、自らの存在を暴露することは危険極まりないので、多くが撤去されている）。尚、砲手、車長共に砲の制御は可能である。~
エンジンは[[61式戦車]]と同系列の三菱10ZF22WT空冷2ストロークV型10気筒ターボチャージド・[[ディーゼルエンジン]]で720馬力を発生、路上最大速度は53km/時で変速機がセミオートマチックとなり、操縦が簡単なものとなり、[[超信地旋回]]も可能となった。また[[シュノーケル]]を使っての潜水渡河能力もある。~
そして本車の一番の特徴として油圧懸架装置を搭載していることで、油圧を使って[[懸架装置]]の油圧シリンダーを動かし、車高を上下200mm、前後に6度、左右に9度傾けられる事である。これによりより大きな俯角を取ったり、遮蔽物に身を隠したりする事が出来る。乗員は車長、砲手、装填手、操縦手の4名。~
新機種への更新が滞ったため、長きに渡って[[陸上自衛隊]]の[[機甲戦力>機甲部隊]]の中核を占めていた。~
後継の[[10式戦車]]や[[16式機動戦闘車]]への機種転換・退役が進められ、2024年3月20日に[[第9戦車大隊>第9師団（自衛隊）]]・[[第10戦車大隊>第10師団（自衛隊）]]・[[第13戦車中隊>第13旅団（自衛隊）]]の廃止・偵察戦闘大隊への改編により戦闘部隊の全車が退役した。~
また、教導部隊である[[機甲教導連隊]]第4中隊の機動戦闘車中隊への改編、同[[連隊]]戦闘中隊の16式機動戦闘車への増備により全車退役となった。~
~
このように、攻撃力・[[機動力]]が大幅に強化されたにもかかわらず、[[鉄道]]輸送等の配慮から防御の面ではそれほど強化されていない様であり（重量は38t）、試験に於いては自身の持つ105mm砲に「撃破」され行動不能になったという報告もある。~
運用方法は先代の[[61式戦車]]と同様、[[戦車駆逐車]]に近い[[待ち伏せ>アンブッシュ]]主体のものとされている。
~
1975年から1989年にかけて873両が配備され、装備のアップグレード等を行ってやれば十分現役で使える筈だが（現に[[火器管制装置]]、装甲やパッシブ式暗視装置の追加、サイドスカートの装着等を行った74式戦車（G）と呼ばれる改造型が4両存在するが予算不足により中止）、[[90式戦車]]の登場により、年間40両程度の速さで退役している。~
だが今でも655両が部隊配備され、数の上では未だに主力である。~
**特徴 [#caa4cba2]
車体は全溶接で[[砲塔]]は鋳造。全体的に、[[避弾径始]]を重視した低く滑らかな形状をしている。~
主砲には[[砲安定装置]]が搭載され、[[行進間射撃]]が可能。~
[[火器管制装置]]として弾道計算機、[[レーザー]]式[[測距儀]]、テレスコープとペリスコープを装備する。~
~
余談だが、74式戦車は[[60式装甲車]]と同様、雲仙普賢岳の火山災害に災害派遣された事がある。これは、夜間の火砕流の警戒監視を赤外線フィルターを外したアクティブ投光器で照らして行うアイデアが実施された為である。~
このアクティブ投光器は、赤外線フィルターを外すと夜間1500メートル先で本が読める程度の明るさを持つ。（紫外線による人体への炎症の危険性がある為、普段は赤外線フィルターを装着している。それでも、直前に立つと低温やけどや着衣の変質等の危険性がある。）~
また、[[砲塔]]の横に[[赤外線]]投光器を搭載する事で夜戦に対応できるようになっている。~
この投光器は、[[赤外線]]フィルターを外すと夜間1,500メートル先でも本が読める程度の明るさを持ち、あまりの大出力・大光量であるため、フィルター越しでも至近距離で浴びると低温やけどを負うほどの熱量を持つ。~
>1993年に発生した雲仙普賢岳噴火災害の際、この投光器の性能が買われ、[[戦車]]としては異例の災害派遣に出動して火砕流の監視に貢献した。~
>後世、[[IRST]]や[[赤外線誘導]]の普及によって有用性を失い危険要因となったため、[[赤外線]]投光器は撤去された。
操縦性も不評だった61式戦車から改善され、[[超信地旋回]]も可能。~
また、シュノーケルを使っての潜水渡河能力もあり、最大2m強の潜水渡河が可能。~
加えて、油圧[[懸架装置]]のシリンダーによって上下200mm、前後6度、左右9度まで車体を傾ける事が可能で、これにより遮蔽の確保が容易になっている。~
~
参考リンク http://www.jda.go.jp/jgsdf/info/so13.html~
ただし、[[装甲]]は決して十分ではなく、攻撃に対する耐久・生存性には明確な欠点が残っている。~
これは第二世代（[[複合装甲]]の普及以前）の[[主力戦車]]ほぼ全てに共通する傾向だが、[[鉄道]]輸送を考慮して重量を38t程度に抑えた事でことさら深刻な欠点となった。~
~
#ref(74tk.jpg)~
#ref(http://www.masdf.com/altimeter/soukaen2000/tyep74mbt.jpg,600x400)~
~
**スペックデータ [#kbba19f5]
|>|CENTER:74式戦車|
|乗員|4名（車長、操縦手、砲手、装填手）|
|全長|9.41m|
|全幅|3.12m|
|全高|2.25m（標準時）|
|戦闘重量|38t|
|[[エンジン]]|[[三菱重工>三菱重工業]]製10ZF22WT [[空冷>空冷エンジン]]2ストロークV型10気筒[[ターボチャージド>ターボチャージャー]][[ディーゼル>ディーゼルエンジン]]&br;（出力720hp）|
|登坂力|60％|
|超堤高|1.0m|
|超壕幅|2.7m|
|潜水能力|2.0m|
|最大速度|53km/h（路上）|
|[[行動距離>航続距離]]|300km|
|携行弾数|50発（105mm砲）&br;・93式105mm[[装弾筒付翼安定式徹甲弾]]（APFSDS）&br;・91式105mm[[多目的対戦車榴弾]]（[[HEAT>成形炸薬弾]]-MP）&br;・00式105mm戦車砲用演習弾（演習用[[徹甲弾]]）&br;・77式105mm戦車砲[[空包]]（空砲射撃用）&br;600発（12.7mm機銃）&br;4,500発（7.62mm機銃）|
|兵装|L7A1 51口径105mm[[ライフル砲>施条砲]]×1門&br;[[12.7mm重機関銃M2>ブローニングM2]]×1挺（[[砲塔]]上面）&br;74式車載7.62mm機関銃×1挺（主砲[[同軸>同軸機銃]]）&br;60mm3連装[[発煙弾>スモーク弾]]発射器×2基|
~
|>|CENTER:78式戦車回収車|
|乗員|4名|
|全長|7.95m|
|全幅|3.18m|
|全高|2.40m|
|戦闘重量|約38.9t|
|[[エンジン]]|[[三菱重工>三菱重工業]]製10ZF22WT 2ストロークV型10気筒[[空冷>空冷エンジン]][[ターボチャージド>ターボチャージャー]][[ディーゼル>ディーゼルエンジン]]&br;（出力720hp）|
|登坂力|60%|
|超堤高|1.0m|
|超壕幅|2.7m|
|最大速度|53km/h（路上）|
|[[行動距離>航続距離]]|300km|
|兵装|[[12.7mm機関銃M2>ブローニングM2]]×1挺&br;3連装76mm[[煙幕弾>スモーク弾]]発射機×2基|
|装備|大型ブームクレーン×1基|
|牽引・吊り上げ能力|牽引力：38t&br;吊り上げ力：約20t|
**主な改修型 [#c743c480]
-初期生産型：~
基本型。~
~
--照準用暗視装置付：~
[[砲塔]]にアクティブ式[[赤外線]]暗視装置を取り付けた型。~
~
--ドーザー付：~
車体前方に障害物除去用ドーザーを装備した型。~
姿勢制御装置の油圧を利用して行うが、操縦装置の関係で搭載砲弾数は47発となる。~
~
--照準用暗視装置 ドーザー付：~
上記2つを取り付けた型。~
~
-B型：~
[[APDS>装弾筒付徹甲弾]]及び75式[[HEP>粘着榴弾]]の2弾種に加え、[[APFSDS>装弾筒付翼安定式徹甲弾]]を運用できるよう[[FCS>火器管制装置]]や[[弾薬架]]を改良した型。~
変更までに配備された400輌以上の初期型全てがB型に改良された。~
~
-C型：~
B型の[[迷彩]]をOD色一色から濃緑色と茶色の2色迷彩に変更した型。~
50〜60輌程度が生産され、B型と並行して運用された。~
~
-D型：~
砲身にサーマルスリーブを装着した型。~
C型以前の物は全てD型に改良された。~
~
-E型：~
HEPの代わりに91式[[HEAT-MP>成形炸薬弾]]を射撃できるよう[[FCS>火器管制装置]]を改良した型。~
D型以前の8割程度がE型仕様になった。~
~
-F型：~
[[92式地雷原処理ローラ]]を装備できるようにした型。~
数量は10輌以下とされる。~
~
-G型：~
改修型。量産4輌+試作1輌のみ。~
パッシブ式暗視装置や[[発煙弾>スモーク弾]]発射機と連動する[[レーザー]]検知装置、YAGレーザーを使用したレーザー測遠機などを装備した。~
また、[[90式戦車]]に類似したサイドスカートが装着可能で、起動輪にはリング状の[[履帯>無限軌道]]離脱防止装置(([[M1「エイブラムス」>M1（戦車）]]の初期型車両に類似した物。))を装着している。~
改修による性能の向上は良好であったが、改修コストの問題により大規模な整備は見送られた。~
量産車は後にE型に準じた仕様に改修された。~
~
**派生型 [#de840aa2]
-[[91式戦車橋]]：~
[[施設科]]による[[架橋]]作業用に開発された自走戦車橋。重車両も通行可能な折りたたみ式の鉄橋を搭載する。~
~
-78式戦車回収車：~
戦車回収車型。~
1978年に[[制式]]採用され、約50両が生産された。~
20t吊りのブームクレーンやウインチ、各種回収/整備機材を搭載している。~
車体後部上面のエンジンデッキ上には、予備、もしくは故障/損傷車両から取り外したエンジンや変速装置等を搭載して運搬することが可能である。~
~
-[[87式自走高射機関砲]]：~
[[自走対空砲>高射砲]]型。[[砲塔]]を[[KDA 35mm高射機関砲>L-90]]に換装した。~
~
