【73式中型トラック】(ななさんしきちゅうがたとらっく)

1973年に制式化された陸上自衛隊の汎用輸送車両。
設計は日野自動車とトヨタ自動車の共同で行われ、日野自動車が製造を担当し、トヨタが納入を担当している。

隊内では「キャリア」や「ヤオトラ」とも通称される。
なお、2003年からは名称を「1 1/2tトラック」として調達されている。

「製造コストの削減」「部品の共通化」「民生品の活用」の観点*1から「制式化」の対象から外し、防衛庁長官→防衛大臣の「部隊使用承認」という形で使用されているためである。

旧型・新型があり、それぞれ使用されるコンポーネントやエンジン、駆動方式などの設計で異なる。
旧型は、日野・レンジャーのコンポーネントを流用しており、5速マニュアル式で、パートタイム式四輪駆動を採用している。
また、パワーステアリングを装備している物としていない物がある。

新型は高機動車のシャーシを使用しており、ロックアップ機構付4速オートマチックで、センターデフを持つフルタイム4WDやパワーステアリングを装備する。
陸上自衛隊の各部隊に配備されており、73式大型トラックと同じくバリエーションも数多く存在する。

スペックデータ

乗員2名
全長約5,490mm
全高約2,565mm
全幅約2,220mm
車両重量約3,040kg
積載量約2,000kg
人員:16名
懸架・駆動方式パートタイム式4WD(旧型)
センターデフ付きフルタイム4WD(新型)
エンジン出力125kW
変速5速MT(旧型)
ロックアップ機構付き4速AT(新型)
最高速度約115km/h
製作トヨタ自動車、日野自動車

バリエーション

  • 1t半救急車:
    主に普通科部隊や衛生隊に装備する戦場救急車。
    通称「アンビ」と呼ばれる。

  • 79式対空レーダー装置 JTPS-P9:
    高射特科部隊が装備する対空レーダー。
    専用シェルターに収容されており、使用時には空中線を展張する。

  • 85式地上レーダー装置 JTPS-P11:
    71式地上レーダー装置JTPS-P6の後継として開発された地上監視用のレーダー。
    主に偵察部隊などが装備する。

  • 広域用監視装置 GOB-206:
    HD可視カメラと高精細サーマルカメラを搭載した監視装置。
    カメラ搭載車および監視装置搭載車によって構成される。
    移動監視隊などに配備。

  • 無線搬送装置2号 JMRC-C20/C21/R20(中型無線通信車):
    専用シェルターに収容されている。
    主に方面通信群、師団通信大隊、旅団通信中隊などに装備されている。

  • 移動加入基地局装置 JTTC-T1:
    師団通信システムを構成する器材の一つ。
    主に師団の通信大隊などに配備される。

  • 航空気象装置 JMMQ-M4:
    航空部隊の運航に必要な気象情報を観測する装置。

  • 航空気象装置 JMMQ-M7:
    JMMQ-M4の後継装備。
    気象情報処理装置・移動気象レーダー装置を搭載。

  • 94式除染装置:
    主に連隊、大隊の本部管理中隊等に装備されている。

  • 航法援助装置 JMRM-A2:
    移動式NDB(無指向性無線標識)。

  • 野戦特科射撃指揮装置 JGSQ-W3:
    野戦特科部隊に配備される射撃指揮装置。
    中隊指揮用装置は本車に搭載される。

  • ネットワーク電子戦システム(NEWS):
    敵のネットワークシステムを遮断させる妨害装置を搭載した車輛。
    北部方面隊直轄の第1電子隊に配備予定。


*1 加えて、いまやただのトラックに保持すべき軍事機密などないこともあげられる。

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