【4号戦車】(よんごうせんしゃ)

第二次世界大戦期のドイツ軍中戦車
3号戦車と同時に構想・開発されたもので、3号戦車では手に負えない相手と戦う為の支援戦車として設計された。

基本的な設計思想は3号戦車と同一で、砲塔の主砲以外は内部構造もほぼ同一。外見も非常に似通っている。
3号戦車に比べて車体が多少大きく、履帯の転輪の数が2個多い事でかろうじて見分けが付く。

当初は75mm/L24を主砲としていたが、段階的に75mm/L43、75mm/L48と強化換装された。
余裕ある設計のため主砲の換装も容易で、火力面では連合国軍の戦車と互角だった。
ただし装甲や生存性においては基礎設計の古さが災いし、明確に劣位だった。

対戦車戦を意識した設計ではない上、設計されたのが戦間期であるため第二次世界大戦勃発時点ですでに旧式化していた。
しかし近代化改修に耐える設計的余裕があったため、大戦終結に至るまでドイツ軍戦車部隊の主力であり続けた。
大戦後期には5号戦車6号戦車に引き継がれ旧式化したが、大量の4号戦車を戦線から撤去するような余裕などドイツ軍にはなかった。

スペックデータ

乗員5名(車長・射手・装填手・操縦手・通信手)
全長7.02m
車体長5.89m
全高2.68m
全幅2.88m
重量25t
懸架方式リーフスプリング方式
エンジンマイバッハ HL120 TRM V型12気筒ガソリンエンジン(出力300馬力(224kW))
速度
(整地/不整地)
38km/h / 16km/h
行動距離210km(初期)
320km(中期以降)
武装Kw.K.40 L/48 7.5cm砲×1基(砲弾87発)
MG34 7.92mm機関銃×2挺(銃弾3,150発)
装甲50mm(砲塔前面)
80mm(駐退機前面)
30mm(側面・後面)
16〜25mm(上面)
80mm(車体前面)
30mm(車体側面)
20mm(車体後面)
16mm(車体上面)


IMG_5335.jpg

4号戦車D型

各型式

  • A型:
    初期生産型。
    マイバッハ HL108TR ガソリンエンジン(230hp)、武装75mm/L24×1門、7.92mm機関銃×2挺、車体前面装甲14.4mm、砲塔前面装甲20mm、重量17.3t、最高速度30km/h。

  • B型:
    先行量産型。
    砲塔と車体形状を変更した他はA型と同一。

  • C型:
    B型の小改造型。
    車体前面装甲を30mmに強化、砲塔同軸機銃にスリーブを装着、エンジン換装(マイバッハ HL120TRM)等。
    最高速度35km/h。

  • D型:
    砲塔防盾を変更し、前面に30mm、側面に20mmの増加装甲を追加した。
    また、車体構造が変更され、履帯幅が400mmに増加した。

  • E型:
    キューポラ砲塔形状を新設計とし、車体前面を50mmの一枚板装甲板に変更した。
    足回りの変更により最大速度が向上している(42km/h)。

  • F1型:
    支援戦車の最終モデル。
    車体を新型とし、総て一枚板の装甲板とした(前面50mm、側面30mm)。
    ボールマウント式機銃を装備している。

  • F2型:
    主砲を75mm/42に換装し、対戦車打撃力を強化したタイプ。

  • G型:
    最初から75mm/L42を搭載したタイプ。
    基本的にはF2型と同一だが、砲塔および装填手席の覗視穴を廃止、新型の砲口制退機を採用し、一部の車両に前面に30mmの増加装甲を追加している。

  • H型:
    主砲を75mm/L48に換装した主力型。
    前面装甲を一枚板の80mmに変更し、新型変速機を採用した。
    また、シェルツェンを装備。

  • J型:
    H型の簡易生産型で最終型。
    シェルツェンを一枚板から金網に変更している。
    また、砲塔旋回用エンジンを廃止し、弾薬搭載量が増加した。
    装甲は砲塔上面前部に20mm、後部に18mmの増加装甲を装備している。

    注:1942年8月以降、前線より修理に戻ってきた車両は、総てその時の最新型に合わせた改造を受けている。

派生型

  • BL Pzkpfw IV:
    C型またはD型の車台を利用した架橋戦車。
    少数が改装された。

  • Munitionsträger:
    D・E・F型の車台を利用した「カール?」自走臼砲専用弾薬運搬車。
    砲塔を取り去り、4発の60cm砲弾又は54cm砲弾を運搬できる装備と大型クレーンを搭載。

  • PzBefWg? 7.5cmKwK:
    増加無線装置を搭載した指揮戦車。
    主砲はそのまま搭載した。

  • PzBeobWg? IV:
    砲兵支援用の観測戦車。
    内容は指揮戦車とほぼ同じ。

  • PzBergeWg? IV:
    砲塔の代わりに木製車室を搭載した戦車回収車。
    組立式クレーン装備。

  • PzF:
    車台を舟型フロートで覆った装甲フェリーボート。
    試作のみ。

  • Tauchpanzer IV:
    吸排気用ホースを付けた潜水戦車。

  • 4号突撃戦車 ブルムベア?
    IV号戦車の車体に大型の戦闘室を設け150mm榴弾砲を備えた自走砲型。
    歩兵部隊への直接火力支援を目的として作られた。

  • 4号突撃砲?
    4号戦車の車体に3号突撃砲の戦闘室を据え付けたもの。詳しくは項を参照。

  • 4号駆逐戦車?
    48口径の75mm砲を搭載した駆逐戦車型。詳しくは項を参照。

  • ホルニッセ/ナースホルン:
    3/4号戦車車台*1に88mm砲を据え付けた対戦車自走砲。

  • フンメル:
    3/4号戦車車台に150mm砲を据え付けた自走榴弾砲。

  • メーベルワーゲン:
    4号戦車がベースの対空戦車。

  • ヴィルベルヴィント:
    対空戦車型。
    専用の砲塔に20mm対空砲を装備。
    砲塔以外は4号戦車と共通である。

  • オストヴィント:
    対空戦車型。
    より火力の大きい37mm対空砲を搭載。

  • クーゲルブリッツ:
    特殊構造の砲塔に強力な機関砲を搭載した対空戦車型。
    少数生産に終わる。


*1 3号戦車と4号戦車の部品を組み合わせたもの。

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