【擲弾発射器】(てきだんはっしゃき)

Grenade launcher(グレネードランチャー).
擲弾を発射する銃。

口径が20mmを越えるので、日本の慣例では本来「砲」に分類されるべきものだが、サイズ・反動ともに(同口径の機関砲に比べれば)非常に小さく、歩兵が両手で支えて撃てるため、例外的に「銃」に分類される。
手榴弾と同様に多彩な弾種を撃ち分けられるのが利点で、催涙弾などを撃ち込む目的で各国の警察にも採用されている。

小銃擲弾(ライフルグレネード)

小銃に取り付ける単発式の擲弾発射器。
何より軽量安価である事が利点で、歩兵の火力を強化する目的で第一次世界大戦時に開発された。

当初は、銃口に直接擲弾を取り付けて空包を撃つ事で装薬に点火、擲弾を撃ち出すものだった*1
しかし、擲弾を取り付けると小銃が使えなくなり突発的な応戦に支障を来す、反動が大きく銃に対する負担が大きいなどのデメリットが大きい。
このため、厳密な意味での小銃擲弾は、現在、FA-MAS?89式小銃など一部の突撃銃でのみ採用される。
銃身の下部に小さな単発の擲弾筒(後述)を取り付け、装着したまま小銃を使用できるタイプもあり、現在ではこちらが小銃擲弾の主流になっている*2

主な機種

  • アメリカ
    • S&W リボルバー・グレネード
    • M31 HEATライフルグレネード(陸上自衛隊も「M31対戦車小銃てき弾」の名称で採用)

  • 日本
  • フランス
    • リュシェール・モデル40mm
    • AC58
    • APAV40

  • イタリア
    • フランキ AP/AV700

  • イスラエル
    • SIMON

  • ドイツ
    • MPiK カップ・グレネードランチャー
    • バック RW704
  • ベルギー
    • ENERGA(アメリカ軍もM28として採用)

  • ポーランド
    • デザメット GNPO

  • セルビア
    • ツァスタバ M60

擲弾筒(グレネードランチャー)

最初から擲弾を撃つ事を想定して作られた銃。
場合によっては、第二次世界大戦期に使用されていた個人で使用できる小型の迫撃砲を含める場合もある。

小銃擲弾よりも信頼性は堅牢で、中折れ式やリボルバーなどの回転機構を使ってセミオート連射が可能。
より大型化してフルオートに対応した自動擲弾銃もあり、重機関銃迫撃砲の中間に位置する兵器として配備されている。
総体として軽機関銃並かそれ以上の重量があり、敵に間合いを詰められると拳銃小銃での応戦が困難になる点はいずれも変わらない。

主な機種

  • 単発式
  • チューブ弾倉式(ポンプアクション)
    • アメリカ
      • チャイナレイク グレネードランチャー

    • ロシア
      • GM-94

  • 回転弾倉式
    • 南アフリカ
      • ダネルMGL

    • ロシア
      • RG-6(6G30)

    • 中国
      • 87式グレネードランチャー

    • イギリス/カナダ
      • アーウェン37

  • アンダーバレル式(アサルトライフル短機関銃などのオプションとして、銃身下部に取り付ける)
    • アメリカ
    • ロシア
      • GP-25「コスチョール*3
      • GP-30「オブーフカ*4

    • ドイツ
    • ポーランド
      • wz.1974 パラド*5

    • シンガポール
      • CIS 40 GL

    • イタリア
      • ベレッタ GLX-160

自動擲弾発射器(オートマチックグレネードランチャー)

金属製ベルトリンクで接続された擲弾をガス圧もしくは反動により連射できるようにした物。自動擲弾銃とも。
外観はほとんど重機関銃と変わらない。
有効射程は1,500mにもなり、射程でも単位時間あたりの投射重量でも軽迫撃砲を上回り、中迫撃砲にも匹敵する。

主な機種

  • アメリカ
    • M75
    • Mk19
    • Mk.47

  • ソ連/ロシア
    • AGS-17「プラミヤ*6
    • AGS-30
    • AGS-40

  • ウクライナ
    • UAG-40

  • 日本
  • ドイツ
    • H&K GMW(GMG)

  • スペイン
    • LAG 40

  • 韓国
    • K4

  • 中国
    • 87式グレネードランチャー
    • 11式グレネードランチャー

  • 南アフリカ
    • デネル Y3

空中炸裂擲弾銃(エアバースト・グレネードランチャー)

個人火器ながら火器管制装置を内蔵することにより曳下射撃を可能にした発射器。
詳細はエアバースト・グレネードの項を参照。


*1 のちに実弾と同時に撃てるよう改良された。
*2 ただし、小銃擲弾の価値そのものを疑問視する向きも多い。
*3 Костёр:「焚き火」の意。
*4 Обувка:「小さな履物」の意。
*5 Pallad:ポーランド語でパラジウムの意。
*6 Пламя:ロシア語で「炎」の意。

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