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*&ruby(ざんごうせん){【塹壕戦】}; [#q4601b4f]
戦争において、当事国同士が戦場に長大な[[塹壕]]を築城し、互いに相手の塹壕を突破できずに長期に渡って戦線が膠着した状況。~
俗に[[第一次世界大戦]]を指す。~
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これを引き起こしたのは、その10年前に起きた[[日露戦争]]の旅順[[要塞]]攻防戦における戦訓が基であった。~
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この戦いで、旅順要塞に籠もった[[ロシア軍]]は、効率的な[[障害システム]]による足止めと[[機関銃]]による猛烈な弾幕によって、[[乃木希典]]将軍率いる[[日本軍]]攻略部隊に大損害を与えた。~
この時にロシア軍の採った布陣は、現代の基準で考えても[[歩兵]]による突破が不可能なものであり、有効な対抗戦術が確立されていなかった当時ではおよそ難攻不落以外の何物でもなかった。~
参戦各国軍の将兵は、ことごとく塹壕線への無謀な突破行を試みては壊滅し、あるいは無謀だからと占領を試みずに[[間接砲撃]]だけを無意味に繰り返し、結果として史上空前の膨大な戦死傷者を生み出す事になった。~
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それから間もなくして、これを無力化できる新兵器――[[機関銃]]では破壊不可能な[[装甲]]を持つ「[[戦車]]」と、地形に左右されない[[機動力]]を持つ「[[爆撃機]]」が登場したことにより、塹壕戦は早くも短い歴史に終わりを告げることになる。~
しかし、その短い歴史は間違いなく当時の「史上空前の惨劇」であり、「世界大戦」という異常事態を人類史最大の汚点として世界に知らしめたものである((わずか四半世紀後には[[第二次世界大戦]]がすべての記録を塗り替えてしまったのだが……。))。~
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その衝撃と畏怖がいかほどのものだったかは、その後の[[国際連盟]]、[[不戦条約]]の動きなどをみても明らかだろう。~
いわゆる人権運動、平和主義は全て塹壕戦の惨禍に対する厭戦感情から始まったと見る向きさえある。~
いわゆる人権運動、[[平和主義]]は全て塹壕戦の惨禍に対する厭戦感情から始まったと見る向きさえある。~
実際、その戦禍のあまりの恐ろしさゆえに当時の有識者達でさえ「[[第一次世界大戦]]を上回る戦争はもう二度と起こらないだろう」と予測していたほどだったのだ。


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