*&ruby(ざんごうせん){【塹壕戦】}; [#q4601b4f]
当事国同士が長大な[[塹壕]]を築城し、互いに相手の塹壕を突破できずに長期に渡って戦線が膠着した状況。俗に[[第一次世界大戦]]を指す。~

これを引き起こしたのは効率的な[[障害システム]]による足止めと、発達した[[機関銃]]による猛烈な弾幕である。~
これは現代の基準で考えても[[歩兵]]による突破は不可能な布陣であり、有効な対抗戦術が確立されていなかった当時ではおよそ難攻不落以外の何物でもなかった。~
両軍の将兵は無謀な突破行を試みては壊滅し、あるいは無謀だからと占領を試みずに[[間接砲撃]]だけを無意味に繰り返し、結果として史上空前の膨大な戦死傷者を生み出す事になった。


しかし[[機関銃]]では破壊不可能な装甲を持つ[[戦車]]と、地形に左右されない[[機動力]]を持つ[[爆撃機]]の登場によって塹壕戦は早くも短い歴史に終わりを告げることになる。

塹壕戦の短い歴史は、しかし間違いなく当時の史上空前の惨劇であり、「世界大戦」という異常事態を人類史最大の汚点として世界に知らしめたものである((わずか四半世紀後には[[第二次世界大戦]]がすべての記録を塗り替えてしまったのだが……。))。~
その衝撃と畏怖がいかほどのものだったかは、その後の[[国際連盟]]、[[不戦条約]]の動きなどをみても明らかだろう。いわゆる人権運動、平和主義は全て塹壕戦の惨禍に対する厭戦感情から始まったと見る向きさえある。~
実際、その戦禍のあまりの恐ろしさゆえに当時の有識者達でさえ「[[第一次世界大戦]]を上回る戦争はもう二度と起こらないだろう」と予測していたほどだったのだ。

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