【陸奥】(むつ)

青森県地方の旧国名(原義)。

  1. 1910〜1920年代、日本海軍八八艦隊計画によって発注・建造された長門超ド級戦艦の2番艦。
    竣工直後にワシントン海軍軍縮条約の交渉において、日本が「完成済み」と主張したのに対し、英米が「未完成」として廃棄するように求められたが、最終的には日本に本艦の保有を認める代わりに英米に2隻の戦艦建造を許す形で決着した。

    大東亜戦争では連合艦隊司令部直属の第一戦隊に属したが、既にドクトリン航空主兵主義に移っており、姉妹艦で連合艦隊の旗艦を務めた「長門」と戦隊を組んでいた本艦は活躍らしい活躍はできなかった。
    そして1943年6月、広島県・柱島泊地に停泊中、火薬庫が原因不明の爆発を起こして沈没してしまった。

    艦の要目は長門の項を参照のこと。

  2. 試作原子力貨物船「むつ」。
    1960〜1970年代、日本原子力船開発事業団が発注・建造した原子力貨物船。
    船名は当時の母港であった青森県むつ市に由来している。

    竣工後の1974年、試験航海中に搭載された原子炉がごく微量の放射線を漏洩。
    放出された放射線量そのものは自然界と同レベル*1であったが、マスコミによる風評被害によりあらゆる港から寄港を拒否されてしまい、各地の港を「漂流」する破目になった。

    最終的にむつ市の関根浜港が母港と決まり、1991年〜1992年にかけて原子炉を使用して試験航海を行った。
    その後、原子炉区画を解体・撤去*2した上で通常動力の「海洋地球研究船『みらい』」として再就役した。

*1 一般的なブラウン管テレビの前にいて浴びる量の2倍程度だったという。
*2 撤去された原子炉は関根浜港に隣接する「むつ科学技術館」にて密閉管理の上展示されている。

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