【用途廃棄】(ようとはいき)

自衛隊に於ける用語で、運用寿命の尽きた物資を処分する事。略して「用廃」。
基本的にはゴミ・産業廃棄物として廃棄されるが、別用途で再利用される事もある。

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F-104J 697号機。1980年那覇基地での姿。

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上記機体の2001年の姿。千葉県某所国道沿いで放置中。

再利用の例

用途廃棄となった物資の再利用例として、いくつかの例を挙げる。

破損したりして使用不能になった消耗品を、隊員の部活動の用具として利用する。
ブルーインパルスジュニアが使う、T-4をかたどって装飾されたバイクにつけられたピトー管に、基地で使われていたモップの柄が利用されていた事例。
かつてアメリカから供与された、あるいはライセンス生産で入手し、後継兵器の導入により使用されなくなった大型の装備品(艦船・航空機)が、アメリカ経由で第三国へ譲渡される。
○草創期にアメリカから貸与され護衛艦輸送艦として使われていた駆逐艦フリゲート戦車揚陸艦が、第三国海軍に供与された事例。
・護衛艦「はたかぜ(初代)(DD-182)」(米軍旧名「メイコム(USS Macomb DD-458)」)
 1969年除籍→台湾海軍「咸陽」として1974年まで使用。
・護衛艦「あさひ(DE-262)」(米軍旧名「アミック(USS Amick DE-168)」)
 1975年除籍→フィリピン海軍「ダトゥ・シカツナ(BRP Datu Sikatuna PF-5)」として1988年まで使用。
・護衛艦「はつひ(DE-263)」(米軍旧名「アサートン(USS Atherton DE-169)」)
 1975年除籍→フィリピン海軍「ラジャ・フマボン(BRP Rajah Humabon PF-6→PF-11)」として2011年まで使用。
・輸送艦「しれとこ(LST-4003)」(米軍旧名「ナンスモンド・カウンティ(USS Nansemond County LST-1064)」)
 1976年除籍→フィリピン海軍「サマール・デル・ノルテ」として1990年代まで使用。

航空自衛隊から退役したF-104J/DJが、台湾空軍に譲渡されていた事例。

正面戦闘用の銃火器が、第一線を退いた後に儀礼用の装備として残される。
陸上自衛隊創設当時に使用されていたM1ガーランド小銃やM2A1・105榴弾砲
前者は儀仗隊用の備品、後者は礼砲用として少数が保管・使用されている。
平和維持活動や災害派遣・人道支援などで国外へ持ち出した装備品が、任務終了後現地に残される。
防弾チョッキやヘルメットなどの個人装備・施設科が使用していた建設機材など、直接人の殺傷に関わらないものが、撤収にあたり現地に「寄贈」されることもあるが、この際に、書類上では用途廃棄された体裁がとられる。
2011年に武器輸出三原則等の緩和が閣議決定され、この形態によらずとも供与できることになった。

物資の横流し

用途廃棄は、軍人と交流を持つ犯罪結社*1にとっては密売を行う絶好の機会でもある。
書類上では用途廃棄されているはずの軍事物資が、実際には地下ルートで密売されていた、という事例は少なくない。

当然、銃火器や機密物資の横流しは犯罪であり、大抵の軍の内部法規に抵触する。
またそもそも、官給品を売却して個人的な収入を得る事自体が横領の罪に問われる。

どれほど厳格な軍隊でも、消耗品を自宅に持ち帰る程度の軽微な事例は必ず散見される。
それをどこから横領とみなし、どの程度まで厳密に処罰するかは個々の軍による。
一般論として、軍事機密や多額の金銭に関わる事例でなければ黙認される事は多い。

例えば、自衛隊では戦闘糧食に関する「黙認された不祥事」が妙に多い。


*1 軍人が休暇に歓楽街で遊ぶ事を禁じる法律は基本的にないし、あっても遵守されない。
  そして、犯罪結社の勢力下に置かれていない歓楽街などというものは絶対に存在し得ない。
  職業犯罪者が賄賂や脅迫などで軍人と繋ぎを持とうと思えば、標的を探すのは決して難しい事ではない。


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