【与圧服】(よあつふく)

Pressure suit / Pressurized suit
飛行服の一種で、高高度など気圧の低い環境において、乗員を保護するために用いられるもの。

気圧が極端に低くなると、たとえ酸素マスクをつけていても、肺が酸素を吸収するのに必要な圧力を得られず、呼吸が困難になってしまう。
また減圧により、血液中に溶け込んだ窒素などが気泡と化してしまうこと(減圧症)も問題になる。

よく「血液が沸騰する」と言われる場合もあるが、実際には皮膚や血管に覆われているため、怪我のない状態で血液そのものが沸騰することはない。

コックピットキャビン自体を与圧することで、これらの問題に対応することは充分可能だが、特に軍用機では被弾によって急減圧してしまう危険もありうる。
こうした低圧状態から乗員を守るため、乗員の体を完全な気密状態で覆う服である。

一般に、飛行服は狭いコックピットでも確実な操縦ができるように動きやすさを重視するが、与圧服の場合は気密性が第一に考えられているため分厚く頑丈で、非常に動きづらい。
高高度を飛行する偵察機や、それを迎撃する戦闘機などのパイロットが着ていたが、現代では地対空ミサイルなどの発達により戦闘機自体が高高度まで飛行することは少なくなった。

宇宙開発の初期においては、航空機用の与圧服が宇宙服として流用されることも多かった。

20050821psuit.jpg
U-2パイロット用与圧服


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS