【予備役】(よびえき)

軍隊兵器や人員のうち、世代交代でいったん退役したが、非常時には損失を補充するために復帰する可能性があるもの。

予備役となったものは、装備であれば改修、人員は再訓練を定期的に受けつつ、いつでも復帰できるようストックされる。
運用寿命、肉体の老化、兵站保持能力などの限界を超えて保存を継続できなくなった時点で完全な除籍となる。

自衛隊では装備・兵器のみを「予備役」と称し、人員は予備自衛官即応予備自衛官予備自衛官補*1と称する。
また、旧軍でも「予備役」という表現に一種の侮蔑性を認め、自称としては「在郷軍人」等と名乗る事が好まれた。

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人員の「予備役」

人員の場合、一般的には「兵役の義務に基づく訓練期間を満了した兵」「早期退職した職業軍人」が予備役となる。
また、ある種の特殊技能者(船員・エビエーターなど)に免許取得の条件として予備役への登録を義務付ける場合もある。

特に職業軍人の場合、予備役編入は事実上の戦力外通告であり、解雇処分である。
自発的に退役(失職)を望む事例は多くはなく、通常は軍政が予備役に編入する者を選ぶ事になる。
必然「無能な者」「価値のない者」「権限を与えるべきでない者」とみなされた者が優先的に予備役に回される事になる。

また、政治的な不祥事が発生した場合に責任者が「現役不適格」とみなされて予備役編入という「刑罰」を受ける事も多々ある。

国家総力戦を想定する場合、現役将兵と同数から数倍の予備役将兵を擁しておく事が望ましいとされる*2

予備役に編入された者は、平時には一般の職業*3に従事しつつ、再訓練のため、定期的に短期の招集を受ける。
紛争・事変や戦争が勃発して軍が戦時編制に移行すると長期の招集を受け、現役将兵の補充要員として軍隊に勤務する*4
招集された予備役将兵は、最初は慣熟訓練を兼ねて後方に配置されるが、再編成のために後送されてきた部隊と交代で順次前線へ送り込まれ、現役将兵と共に戦闘に従事する。
そして事態が収束して軍が平時編制に戻ると動員を解除され、一般市民としての生活に戻る。


*1 即応予備自衛官及び予備自衛官補陸上自衛隊のみにある。
*2 なお、自衛隊予備自衛官は陸海空あわせて約6万人で、約24万人いる現役隊員の1/4と、列国に比してきわめて少ない。
*3 国会議員など、現役軍人の就労が禁じられる職業への従事もできる。
*4 国によっては民兵などの準軍事組織に配属されることもある。

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