【予備役将校訓練課程】(よびえきしょうこうくんれんかてい)

Reserve Officers' Training Corps(ROTC).

軍隊予備役制度のひとつで、主に大学に設置され、在学する学生からの志願者に軍事教練及び幹部教育を受けさせ、卒業後に(現役もしくは予備役)将校として登用することをめざす教育・訓練課程、及びそうした任務を行う部隊

アメリカ軍(主に陸軍)に置かれているものが有名だが、現在のアメリカ合衆国と友好・同盟関係にある国でも、これに類似した制度が設置されている国がある*1

なお、現在のわが国(自衛隊)には存在しない。

アメリカのROTC

アメリカのROTCは、沿岸警備隊を除くアメリカ四軍の将校*2を育成するため、特定の州立大学や私立大学に設置されている教育課程であり、これに参加している学生は"Cadet(カデット)陸軍空軍)"、あるいは"Midshipman(ミジップマン)海軍及び海兵隊)"と呼ばれる。

本課程に参加している学生は、一般の学生に混じって授業を受けながら軍事訓練・初級将校としての教育を併せて受け、修了後は一般の士官学校や兵学校の卒業生と同様に初級将校に任官される。
そして、卒業後数年間は正規将校・予備役あるいは州兵として軍務につくことを義務付けられる。
在学中は基本的に招集されることはないが、国家非常事態の際には議会の命令により招集が可能となっている。

本課程参加者は、在学中には学費の全部または一部が国から支給される上に数百ドルの奨学金を受け取れ、また、卒業後は軍に士官として勤務できるため人気が高いが、志願して参加するには、高校・大学の学業成績に加えて犯罪歴・借金の有無、身体・運動能力のテストなど厳しいハードルが課せられており、高い競争率となっている。
また、それをクリアーして参加できても「身体の鍛錬」「軍事科目と専攻科目の両立」「実技演習」などが課せられ、強靭な肉体と、軍隊の規律に従える規範意識が要求される。

このように高いハードルがあるにもかかわらず、本課程にアメリカの若者達が参加を志望する動機としては「パイロットや看護士などの技能職への就職」「奨学金を受けながら学位を得る」などがあるという。

現在のアメリカ軍では、士官の40%がこの課程出身者であるという*3


*1 フィリピン・韓国・台湾など。
*2 特に陸軍のものを指し、海軍及び海兵隊のものは"NROTC"、空軍のものは"AROTC"と呼ばれている。
*3 特に陸軍では、士官全体の半数以上(58%)が本課程出身者である(一方、最少は海兵隊で、士官全体の11%しかいない)。
  また、沿岸警備隊には制度そのものがない。


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