【予備自衛官】(よびじえいかん)

防衛省自衛隊の制度のひとつで、陸海空自衛隊で1年以上勤務後に退職した元隊員のうち、一定の資格を満たす志願者(または外部から公募された者)を選考によって防衛省非常勤職員(自衛官)として採用するもの。
外国軍や旧日本軍での「予備役」「後備役」「在郷軍人」などに相当する言葉*1であり、防衛省設置法に定められた「自衛官の定員」の枠外に置かれている。

現在の人員数は約59,000人(陸自即応予備自衛官予備自衛官補を含む)であるが、これは、常備自衛官(現役将兵)が約24万人であることから見て(自衛隊が完全志願制であることを勘案しても)非常に少ない割合である。*2

平時は民間人としての仕事を持っていて、毎年連続する5日間、居住地近辺の部隊に招集されて訓練を受ける*3が、内閣総理大臣からの「防衛出動命令」により招集された際は、主に駐屯地・基地の警備や近隣住民の避難誘導、部隊や避難民への給食・給水支援などの後方支援業務に従事する。*4
また、「災害派遣出動」や「治安出動」「国民保護出動」の命令が下ったときにも必要に応じて招集され、現役隊員と共に行動する他、常備自衛官(主に女性)が産前産後の育児休業に入ったときには任期付自衛官として登用されることもある。

自衛官としての待遇は、基本的に現役隊員だった時代の最終階級*5が踏襲されるが、出動時の勤務実績により昇進することもある。*6

なお、陸上自衛隊ではこれ以外にも「即応予備自衛官」「予備自衛官補」という制度もある。

関連:即応予備自衛官 予備自衛官補 予備役 任期付自衛官


*1 ただしこれらとは違い、資格があるのは「現役時の最終階級が二等陸海空佐以下の隊員」になっており、将官級の隊員は制度の対象外となっている。
*2 諸外国の軍隊では、(他国との全面戦争を想定して)現役将兵と同数〜数十倍の予備役将兵を擁することが一般的だという。
*3 退職後1年未満で出身自衛隊に採用された隊員は、初年度は居住地を所管する「自衛隊地方協力本部」に1日だけ出頭、防衛講話・生活指導などを受けることで訓練としている。
*4 必要に応じ、能力のある隊員を第一線部隊の補充要員とすることも期待されている。
*5 公式書類ではその階級の頭に「予備」という文字がつく
*6 陸自で予備自衛官補から採用された者については、予備自衛官への採用時に階級が指定される。詳細は予備自衛官補の項目を参照のこと。

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