【予科練】(よかれん) †

「海軍飛行予科練習生」の略。

旧日本海軍に置かれていた、航空機搭乗員を養成するための教育制度のひとつ。
本来は、海軍の下士官及び兵卒が勤務に際して習得する特技のひとつである「飛行術（航空機の運用スキル）」を学ぶための教育課程「飛行練習生課程」の初期段階の事を指していた。*1
以下の3つのコースがあったが、どのコースもパイロット養成課程の常として、厳しい採用試験・適性検査が課されていた。

乙種飛行予科練習生
1930年(昭和5年)に創設。
募集対象は旧制高等小学校卒業程度（現在の中学2年生に相当）の学歴を持つ14〜20歳の男子。
海軍兵士としての2年間の教導*2を経た後、飛行練習生として航空隊で訓練を受け*3、三等航空兵曹（後に二等飛行兵曹）に任官された。
下記の「甲種」「丙種」が出来る1937年以前はこの課程のみが予科練であった。
甲種飛行予科練習生
1937年(昭和12年)に創設。
募集対象は旧制中学校4年1学期修了程度（現在の高校1年生に相当）の15〜20歳の男子。
丙種飛行予科練習生
1937年(昭和12年)に創設。
他の部署（艦船・特別陸戦隊・基地航空隊・軍港など）に勤務する兵が配置転換のために志願する「操縦練習生」制度を予科練に組み込んだもの。

太平洋戦争では海軍航空隊の主軸となり、多くの卒業生が実戦参加。
戦争末期に編成された「特攻隊」にも割り当てられ、多数の戦死傷者を出した（同期生の80％が戦死した期もあったという）。

陸軍の「少年飛行兵」と共に、当時の少年たちの憧れの的であり、太平洋戦争中には多くの入隊志望者が殺到した。
しかし、戦況が悪化するとともに機材・燃料が枯渇して十分な訓練が行えなくなり、戦争末期には飛行機に乗る事すらできず、回天・震洋?など悪名高い特攻兵器の乗員に転じさせられた卒業生も現れた。
また、（本来は工兵の分野である）陣地構築などの土木作業に従事させられることも多くなり、「ドカレン」という自嘲的な言葉も生まれた。
終戦後に復員した者達の中にも粗暴化する者が現れ、「予科練くずれ」などのネガティブな言葉で呼ばれる時期もあった。

「七つボタンは桜に錨〜」と歌にも歌われた予科練の制服デザインだが、後年、海上自衛隊の生徒課程の制服にも同様のデザインが採用されている。

関連：航空学生　少年自衛官

*1 これは戦後の自衛隊における航空学生課程と性格が似ている。
*2 後に順次短縮され、最終的には半年程度になる。
*3 海軍では陸軍の「飛行学校」のような航空機運用スキルを担当する教育機関を持っておらず、日本本土に所在する基地航空隊の一部に教導任務を割り振って対処していた。

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