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*&ruby(むぼうびとしせんげん){【無防備都市宣言】}; [#sac88ff2]
他国と交戦中である国が、[[ジュネーブ条約]](正確にはその追加議定書)に基づき、特定の都市・地域について、自国[[軍隊]]の駐留やその支援活動を行わない「無防備地域」とし、''相手国による占領を無条件で受け入れる''とする宣言。~
正確には「無防備地区宣言」という。~
[[ジュネーブ条約]]追加議定書で認められた戦時の[[降伏]]手続きの一つ。~
正確には「無防備地区宣言」と呼ばれ、過疎地であろうと無人の荒野であろうと宣言することができる。~
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戦闘による地域の破壊を(政治的な理由により)避けたい場合や、戦略的・戦術的に価値の低い地域の防衛負担を軽減するなどの目的で行われるが、これを行ったからといって遵守される保障はない(事実、かつての歴史上においても何度となく破られている)~
また、この宣言で抑止されるのは都市・地域への直接的な攻撃だけであり、相手国による占領やその後の軍事基地化を防ぐことはできない点に注意が必要である。~
この宣言が行われた「無防備地域」は、相手国による占領が無条件で受け入れられる。~
この宣言に反して無防備地域に軍備を置く事は、「虚偽の[[降伏]]」として戦争犯罪に問われる。~
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近年、日本では一部の革新系市民団体の主導により、いくつかの地方自治体で「無防備都市化条例」を制定させようとする活動が行われているが、以下にあげるような種々の問題により全て否決されている。~
特定地域の戦災被害を避けたい場合や、防衛不可能と判断した地域を見捨てて[[撤退]]する場合に宣言される。~
とはいえ、相手国側に罰則規定はなく、敵戦力が潜伏しているものと疑って攻撃を仕掛けても構わない。~
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また、この宣言で多少なりとも抑止されるのは都市・地域への直接的な攻撃のみである。~
相手国が占領を行った時点で宣言は完了し、その後に当該地域へ軍事力を[[展開]]する事は制限しない。~
また、無防備地域に対する敵の進駐を確認した後に奪還作戦を実行する事も制限しない。~
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総体的に言って、無防備都市宣言に戦争での流血量を減らす効果はない。一時的に戦力が温存されるのみである。~
敵の戦力を温存させたまま[[領土]]を失うのであるから、最終的には味方により多くの苦難を強いるのみの結果になりやすい。~
もちろん適切な[[戦略]]に基づいて行われた場合には例外もあるが、戦争において流血を企図しない[[戦略]]は有り得ない。

-そもそもこの宣言は''「戦時における地域単位での降伏宣言」''であり、''世界のどの国とも交戦状態にあるわけではない''現在の日本では無意味。
-防衛政策は国(政府)の専管事項であり、地方自治体は関与できない。~
(ただし、他国からの武力侵攻により政府機構が崩壊してしまった場合には自治体の首長や軍司令官に権限が与えられる、と解されるが、これは''あくまでも非常時の措置である''ことに注意が必要である)
-将来、日本がどこかの国と[[紛争]]状態に陥り、その国に占領される危険が迫った際に、住民が起こす[[レジスタンス]]運動を「条例で」防ぐことはできない。
-交戦相手がジュネーブ条約(とその追加議定書)の未参加国またはゲリラ・[[テロリスト]]のような非国家主体である場合には全く無意味となる。
-ジュネーブ条約そのものが「地上部隊同士の近接戦闘」を想定しているものであり、[[航空機]]による[[空爆]]や[[弾道ミサイル]]による攻撃には対応が困難となる。~
''そもそも戦時下においてこのような条約が守られる保証は全くない。現にジュネーブ条約は幾度となく破られている。''~
-その地域で大地震・風水害などの大災害が起きても、[[自衛隊]]の災害派遣出動による救援を受けることができなくなり、人的・物的損害を無用に増やしてしまう恐れがある。(一度出した宣言を解除する方法がないため)
-無傷で敵対勢力を招き入れることを保障してしまう結果になるので、刑法の「内乱罪(国内で政府に対して武力闘争を起こし、政府機構を破壊しようとする罪)」「外患誘致罪(外国が日本へ武力侵攻を行うよう仕向ける罪)」「外患援助罪(日本へ武力侵攻を行おうとする国外の武装組織に[[戦闘員]]として参加したり、武器・弾薬・[[燃料]]・物資・資金などを援助したりする罪)」に該当する恐れがある。~
(万が一外国の武力侵攻が起きた際には当該自治体の首長が上記の罪に問われる可能性がある、とされている)((ちなみに上記のいずれの罪も死刑が定められているが、外患誘致罪に至っては法定刑が死刑しか存在せず、刑法上最も重い罪とされる))
>またそもそも、敵方はそのような無防備地区宣言を信用しない傾向にある。~
防衛の放棄が宣言された時点で当該地域の治安は崩壊し、宣言を遵守させるような統制は喪われるものと予想されるからだ。~
占領の過程で市民の暴動・抵抗が発生しないとは到底考えられず、よって市街の占領は[[非合法戦闘員]]の出現を念頭において行うべきである。~
つまり、占領軍は全ての現地市民が潜在的な[[非合法戦闘員]]であるものと疑ってかかる。~
――このような前提条件で行われる[[軍事]]的占領・[[軍隊]]による治安維持は、非常に高い蓋然性で虐殺的な衝突を引き起こす。

関連:[[敗北主義]]

**無防備都市化条例 [#sa2712f6]
近年、日本では革新系市民団体((運動の主体は「無防備地域宣言運動全国ネットワーク」と呼ばれる団体であるが、この運動には新左翼党派のひとつ「民主主義的社会主義運動(MDS)」が深く関与しているという。))の主導により、いくつかの地方自治体で「無防備都市化条例」を制定させようとする活動がある。~
~
法学的観点から言えば、これは全く無益な考えと断ぜられる。~
以下に挙げるような種々の問題が指摘され、全ての自治体で否決されている。~

-そもそも無防備都市(地域)宣言とは''「戦時における地域単位での[[降伏]]宣言」''である。~
よって、(2024年現在)世界のどの国とも交戦状態にない現在の日本においては意味を持たない。

-防衛政策は日本国政府の専管事項である。~
よって、地方自治体はこれに関与する権利がない。

-無防備地域宣言は[[ジュネーブ条約]]を批准した国家間での戦争においてのみ意味を持つ。~
よって、無防備地域で[[ゲリラ]]・[[テロリスト]]・[[レジスタンス]]が活動する事を防げず、これを抑止すべき正規軍([[自衛隊]])も活動できないため、むしろ地域内では暴力が促進される。

-この宣言は、政治的工作によって日本国の防衛能力を削ぐ意図があるもの([[潜在的な利敵行為>第五列]])と解釈され得る。~
よって、宣言者およびその支援団体は刑法における「内乱罪((国内で[[政府に対する武力闘争>内戦]]を起こし、日本国政府の統治機構を破壊しようとする罪。))」「外患誘致罪((他国が日本国へ武力侵攻を行うよう仕向ける罪。))」「外患援助罪((日本国へ武力侵攻を行う国家の[[軍隊]]に[[戦闘員]]として参加したり、[[兵站]]を提供したりする罪。))」に問われる((ちなみに上記のいずれの罪も死刑が法定刑として定められており、外患誘致罪に至っては法定刑が死刑しか存在しない。))。~
また、日本国政府は当該宣言がなされた自治体及びその行政権を握っている者を[[テロリスト]]と認定し、これを抹殺せしめる目的で[[治安出動]]を命じる事ができる。

-敵国側に罰則規定はない。~
そして前述の理由から、この宣言が成されるような地域は相当に不穏な情勢に置かれる。~
[[戦略]]の定石を考えれば、そのような地域を占領するに際して[[空爆]]や市街戦が発生しないとは考えにくい。

-無防備地域宣言には自発的解除や例外に関する規定がない。~
よって、ある状況でのみ[[自衛隊]]の進入を受け入れる、などという事はできない。~
いかなる大災害が発生し、どれほど困窮しようとも[[自衛隊]]の災害派遣出動を拒絶しなければならない。


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