【無反動砲】(むはんどうほう)

発射する弾丸と同等の運動エネルギーを持つ物体を後方に発射(または噴射)して、作用・反作用の物理法則によって反動を相殺する砲のこと。

当初は後方に「バラスト」と呼ばれる砲弾と同じ重さの固まり(油脂と鉛の散弾)を撃ちだしていたが、その後、発射時に発生するガスを薬莢後方に一旦ため、圧力を高めて噴出する方法が考えだされた。
現在では、プラスチックや木材チップ製の「カウンターマス」と呼ばれる重りを採用している物もある。
また、砲弾そのものをロケット弾とし、砲弾の推進補助装置として利用する物もある。

構造上、発砲煙が豪快に出るので被発見率が高く、使用すると敵からの反撃を受けやすいことと、後方に被害が出ないように安全地帯を設定しなければならないので、運用がやや限られる欠点がある。
バラストとして後方に噴射されるガスは「バックブラスト(back blast)」と呼ばれる。

かつては対戦車砲などとして使われていたが、反動が無く軽く作れるので、現在では歩兵の携帯重火器として多く用いられる。
最近の携帯型の物は、窮屈なバンカー(トーチカ)や市街地の建築物の内部からも発射できるようにバックブラストを抑える為の工夫が施されている。

ちなみに、「無反動」という名称が付いているが、決して反動がゼロという訳ではない。
照準など運用上問題ないという程度で、個人携行の物だと発射時の気圧の変化によって後ろから思いっきり叩かれるような衝撃が走るという。

関連:バズーカ

http://www4.plala.or.jp/klesa108/temp/recoilless.jpg
60式106mm無反動砲(陸上自衛隊


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