【防衛大学校】(ぼうえいだいがっこう)

防衛省の機関のひとつで、自衛隊部隊・艦船の指揮を執る「幹部自衛官」を養成する学校。
旧軍や外国軍の「士官学校(兵学校)」に相当する。

校舎は神奈川県横須賀市に所在。
入学試験の受験資格は「日本国籍を有する高校卒業程度の18歳以上21歳未満の男女」。
カリキュラムは4年制で、卒業生には総合大学と同等の学位が授与される。
大学相当の専門教育と、自衛官幹部候補としての教育訓練が行われる。

在学中の学生は防衛省職員としての身分を与えられるが、卒業までは無階級である。
任官拒否または退学処分となった場合を除けば、卒業と同時に曹長に任命される。

卒業生は自衛隊の幹部候補生学校でさらに幹部専門教育を受ける。
これを修了した段階で三尉に昇進し、指揮官として各地に配属される。

陸上自衛隊では福岡県・前川原駐屯地に配属。学校で6ヶ月、部隊で6ヶ月の教育を受ける。
海上自衛隊では広島県・江田島基地に配属。学校で1年間、練習航海で6ヶ月の教育を受ける。
航空自衛隊では奈良県・奈良基地に配属。学校で6ヶ月、部隊で6ヶ月の教育を受ける。

防衛大学校公式webサイト:http://www.nda.ac.jp/index-j.html

幹部自衛官への道

自衛隊の幹部を目指す若者にとって、防衛大学校の卒業は必須条件ではない。
大学・大学院・専門職からの幹部入隊、一般隊員からの登用などでも自衛隊幹部になる事が可能である*1

一般大学卒
一般の大学卒業後に自衛隊への入隊(就職)を希望し、幹部候補生採用試験に合格した者。
受験資格は20歳〜26歳(大学院卒業予定者は28歳まで)。
幹部候補生学校卒業後、大卒者は三尉・大学院卒業者は二尉に任官される。
選抜試験
一般隊員として入隊後、三曹以上の階級を経て選抜試験に合格した者*2
医科幹部候補生
防衛医科大学校の卒業生。
医師国家試験に合格して免許を取得すると二尉に任官され、防衛医官として勤務する。
歯科/薬剤科幹部候補生
大学で歯学・薬学の専門課程を学んだ学生が採用される。
採用後、国家試験に合格して免許を取得すると歯科医は二尉、薬剤師は三尉に任官される。
飛行幹部候補生
航空学生課程(航空自衛隊海上自衛隊)もしくは陸曹航空操縦学生課程(陸上自衛隊)を修了した隊員。
幹部教育と操縦訓練を受けた後、パイロット戦術航空士として勤務する。
貸費学生
防衛省による奨学金制度。
卒業後に自衛隊で一定期間勤務する事を条件に、奨学金の返済義務が免除される。
防衛大臣が指定した職種職域に相当する技術系学科の大学生・大学院生が対象。
技術海上幹部(公募)
実務経験を持つ技術者を、海上自衛隊の二尉もしくは一尉として中途採用するもの。
医科/歯科幹部(公募)
実務経験を持つ医師・歯科医師を二尉から二佐までの待遇で中途採用するもの。
自衛隊発足当初の防衛医官は全てこのコースで採用されていた。

*1 ただし、防衛大学校の卒業生は「Bコース」「B幹」などと呼ばれ、他の出自と比べて昇進が早い傾向にある。
*2 この制度があるため、幹部自衛官の平均年齢は41歳と高齢化している。
  その改善策として「上級曹長」制度を導入して曹からの昇級を制限する事が検討されている。


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