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*&ruby(ぼうえいいかん){【防衛医官】}; [#y2510d14]
医師免許を保持し、[[陸>陸上自衛隊]][[海>海上自衛隊]][[空>航空自衛隊]][[自衛隊]]の駐屯地・基地・艦船・病院で医療行為に従事する[[自衛隊員]]。~
一般の軍隊でいう「軍医」に相当する。~
[[自衛隊]]における軍医。~
各[[自衛隊]]の駐屯地・基地・[[艦船>艦艇]]・病院で医療行為に従事する、医師免許を取得した[[幹部>士官]]待遇の[[自衛官]]。~
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大半が[[防衛医科大学校]]の卒業生で占められるが、実務経験を持つ医師を中途採用する場合もある((1973年に[[防衛医科大学校]]が開校するまでは全て中途採用者でまかなわれていた。))。~
また、[[陸上自衛隊]]では[[予備自衛官補]]の技能コースから採用されるルートもある。~
1973年に[[防衛医科大学校]]が開校するまでは全て実務経験を持つ医師の中途採用で人員を賄っていた。~
現在の人材はほぼ[[防衛医科大学校]]卒業生で占められるが、医師経験者の中途採用も続けられている。~
また、[[陸上自衛隊]]では[[予備自衛官補]]の技能コースから採用される事例もある。~
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なお、歯科医については「歯科幹部候補生」という別の課程で募集がされ、待遇も「歯科医官」という別の制度下で扱われている。~
なお、歯科医については「歯科医官」という職域が別途制定され、「[[歯科幹部候補生>士官候補生]]」課程で募集されている。

**階級 [#a406c1a5]
防衛医官の、[[自衛官]]としての[[階級]]は以下のようになる。~
:[[防衛医科大学校]]卒業生|卒業時に陸海空[[曹長]]、医師免許取得時に二等陸海空尉に任官され、以後、実務経験年数などにより累進。
:部外からの中途採用者|部外医療機関での実務経験年数に応じて二等陸海空尉〜二等陸海空佐に任官され、以後、自衛隊での実務経験年数などにより累進。
:[[防衛医科大学校]]卒業生|卒業時に陸海空[[曹長]]、医師免許取得時に[[二等陸海空尉>尉官]]に任官され、以後、実務経験年数などにより累進。
:部外からの中途採用者|部外医療機関での実務経験年数に応じて二等陸海空尉〜[[二等陸海空佐>佐官]]に任官され、以後、自衛隊での実務経験年数などにより累進。

ただし、いずれも[[将補>将補(自衛官)]]以上への昇進はきわめて少ない。
ただし、いずれも[[将補>将補(自衛官)]]以上([[将官]])への昇進例はきわめて少ない。

**防衛医大卒業生の「早期退職問題」 [#efd876bf]
**早期退職 [#efd876bf]
[[防衛医科大学校]]を卒業して医官になった者は、自衛官への任官後、最低9年間は防衛医官として勤務する義務を負っている。~
しかし、近年では「自衛隊では臨床経験を積んで高度な医療技術を習得する事が困難」として、高額な違約金((現在では最高で5000万円。))を支払ってでも早期退職を望む者が相次ぎ、問題になってきている((現在は、卒業生の1/3程度が任官から9年以内に退官するという。))。~
しかし近年、最高数千万円にもなる高額の違約金を支払ってでも早期退職を望む者が相次いでおり、任官から9年以内に同期の3分の1が退官した事例もあるという。~
~
これは、防衛医官の勤務先となる「自衛隊病院」のシステムに要因があると見られている。~
自衛隊病院は[[有事]]に多数の戦傷者を収容する必要性から、多くの設備と人員が配置されている。~
一方で、緊急搬送に対応する余裕を常に維持する必要性から、収容能力に対する[[稼働率]]は低く抑えられている。~
自衛隊病院は[[防衛省]]職員とその扶養家族のための職域医療機関としても機能しているが、その患者数は実際それほど多くない。~
平時における防衛医官が医師としては閑職に類し、臨床経験に恵まれず、医師としての栄達・向上に適さない職場である事は否定できない。~
~
一方、防衛医官は医療機関や医師が不足する僻地における重要な人材供給源の一つでもある。~
多くの防衛医官が、本来の勤務先である自衛隊病院から地方の公立病院へと派遣され、僻地医療の一翼を担っている。~
早期退職する防衛医官の多くが、そうした人材不足の公立病院を再就職先に選んでいる。~
また、病院側が違約金を負担して防衛医官を引き抜きにかかった事例も存在する。

>これは、医官の勤務先となる「自衛隊病院」のシステムにも要因がある、と見られている。~
現在の自衛隊病院は、事実上、[[防衛省]]職員(と、その扶養家族)のための職域医療機関として機能しており、基本的に防衛省共済組合の組合員以外の患者を受け入れていない((近年になって、一部の病院で一般の患者を受け入れるようになった。&br;  なお、近い将来には16ヶ所ある病院を(近隣施設との統廃合や診療所への格下げなどで)10ヶ所に再編の上、全ての病院で一般患者を受け入れるようにする計画があるという。))。~
その一方で、[[有事]]に戦傷者を収容することを想定して、常時大量の空きベッドを抱えて運営されている((16ヶ所で合計約2000床のベッドを擁しているが、全体の稼働率は3割以下であるという。))。~
つまり、平時においては不必要に巨大な病院で暇をもてあます医官も少なくないのである。

一方で、防衛医官は医療機関や医師が不足する僻地における重要な人材供給源の一つでもある((前述のように「医師としてのスキルアップ」を求める医官と医師そのものの不足に悩む医療機関との利害がマッチングして「引き抜き」が行われることもある。&br;  そのため、早期退官時の返還金を引き抜いた先の医療機関が負担することもあるという。))。~
多くの防衛医官が、本来の勤務先である自衛隊病院から地方の公立病院へと派遣され、僻地医療の一翼を担っている。


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