【飽和攻撃】(ほうわこうげき)

Saturation attack.

敵の妨害が想定される状況で、敵の妨害能力を超えた数の戦力を集中投入する事。

敵の迎撃用ミサイルの在庫が100発なら、101発以上撃てば最後には迎撃が来なくなる。
敵が同時に10発のミサイルを迎撃できるなら、同時に11発以上撃てばいずれかは迎撃をくぐり抜ける。
同じ人間の殴り合いであるなら、1人の敵を10人で囲めば容易に仕留められる。

莫大な兵站負荷が発生するが、実行可能な状況が整えば防御側に為す術はない。
敵の防御能力が飽和するほどの数の戦力を投入すれば、どんな防御も粉砕されるのだ。

ただし、これを実際に行おうとすると大きな問題が生じる。
飽和攻撃に必要な莫大な戦力は、管理運用を行う兵站に甚大な負荷をかけるからだ。
この負荷は戦略的な機動力を著しく低下させ、また兵器の世代交代をも困難にする。
敵の3倍の兵器を有しているなら、ドクトリン更改に伴う兵器更新の予算も3倍になるのが道理だ。
同等以上の国力を持つ敵に飽和攻撃を仕掛けようとすれば、軍備に圧迫されて国家経済が衰退するだろう。

また、敵の防御能力が飽和する臨界点は、たいていの場合に定かでない。
飽和攻撃を戦略の中心に据えるなら、事前のスパイ活動で正確な敵情を把握する事が不可欠である。

関連:イージス艦 DoS攻撃


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