【飽和攻撃】(ほうわこうげき)

Saturation attack.
相手の対処能力を上回る攻撃をかけること。
軍事用語では、対艦戦闘や弾道ミサイル迎撃など様々な所で出現する。

現代のミサイルは一発でも敵を行動不能に陥らせる。
核弾頭ならば一発の撃ち漏らしも許されない。
そこで、敵が10発まで迎撃できるのならそれ以上の手数をかければ命中するはず、という、至極まっとうな理屈である。

実行には、攻撃をかける各部隊の連携が重要となる。
通常の攻撃に比べ防御は難しく、コストがかかるが非常に有効である。

冷戦期、ソ連の空軍海軍が連携した機動部隊に対する対艦飽和攻撃は、アメリカ軍にとって脅威であった。
当時、アメリカ海軍の持っていたほとんどの水上艦は、短射程の艦対空ミサイルを同時に1発しか誘導できなかったため、自艦を守るのが精一杯であり、対空任務艦でも2発までが限度であった。
勿論、迎撃したところで必ず成功する保証もなければ、飛来するミサイルだけでなく、それを撃ってきた敵のミサイル母機・母艦も攻撃しなければならない。
そこで登場したのがイージス艦(「タイコンデロガ」級ミサイル巡洋艦)である。
この艦は同時に16発のミサイル誘導が出来、(限度はあるものの)飛来するミサイルを余裕を持って迎撃が出来る。
また、高度な情報処理能力・長視程のレーダーを持ち、艦隊全体の戦闘を指揮できる。


軍事以外でも、広く一般的に使われる用語であり、例えばインターネットをサービス不能に陥れるDoS攻撃も飽和攻撃の一種である。


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