【砲熕】(ほうこう)

戦前の旧日本海軍における独自用語。
おおむね火器の意で、特に艦載砲のみを指す事もある。
海上自衛隊においても火器は「砲こう武器」、ミサイル等誘導弾は「誘導武器」と使い分けられている。

幕末において西洋軍事を研究する目的で訳出された用語と見られるが、語源は不明瞭*1
旧海軍以外での使用例が皆無に近く、同時代の陸軍でも全く使われていない用語だった。

この語は「陸軍と同じ用語を使いたくない」という愚劣で幼稚な動機で使用されていた、という風説も根強い。
官僚制度上の軋轢に基づく愚劣な文学的錯誤、という解釈もおそらく一面の真実ではあるが、それは当時の海軍だけに特有の性向ではない。
また、日本史上の特定の時代にのみ見られる傾向でもない。
古典時代から現代に至るまで類例は枚挙に暇がなく、日本人の民族的特性(あるいは日本語の構造的特性)とさえ言える。


*1 「熕」という漢字自体、「砲熕」という単語以外での用例が絶無である。

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