【砲身命数】(ほうしんめいすう)

Barrel life / Tube life

銃砲類の銃身・砲身が実用上耐えられる発射回数。

火砲は銃身内部で爆発の運動エネルギーと熱にさらされ、摩擦を起こす。
これによって、砲身の構造材は発射の度に少しずつ焼食され、摩耗変形していく。

この焼食によって砲身の形状が歪むため、火砲は撃てば撃つほど命中精度が劣化する。
その劣化が運用上許容できない値に達する、と推定される値が砲身命数となる。

軍の制度上の概念であり、命数に達した途端に急激に損壊するわけではない。
基本的には砲の半数必中界の統計を取り、そこから砲身命数が推定される。
ほとんどの場合、砲身命数が尽きるのは命中精度の問題で、撃つ事自体は問題なく行える。
従って、軍の運用教則が変われば全く同じ砲でも砲身命数が改訂される。

急激な異変が生じて物理的に損壊する事もある。
例えば機関銃小銃などは数発連射すると煙を吹き始める事が珍しくない。
時間をおいて1発ずつ撃つなら1万発に耐え得る銃身でも、フルオートでは数分で損壊する。
そのような蛮用が想定される場合、砲身命数は事故発生前に廃棄するための安全基準となる。

命数の長さはおおむね装薬の量に依存し、大質量・高速の砲弾を扱うほど命数が短い。
ただし、大口径の砲は構造自体が分厚く頑丈であるため、装薬が同程度なら巨大な砲ほど命数は長い。


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