【複葉機】(ふくようき)

航空機における主翼形状で、左右両側に主翼が各2枚以上の航空機をさす。

翼面荷重が低く、低速でも大きな揚力を得られるため、低出力のエンジンしか実現できなかった黎明期には複葉機、もしくは三葉機が主流であった。
また、黎明期の航空機は「木製の骨組みに張り」という構造をしていたが、この構造で単葉機を作ると強度が持たないという欠点もあった。

しかし、エンジン出力向上とともに、飛行機の速度は飛躍的に増したため、複葉機の欠点である誘導抗力の大きさが支障を来たすようになった。
また、揚力は速度の2乗に比例するため、複葉機でなくとも十分な揚力を得られるようになり、単葉機が主流となった。

第二次世界大戦の頃までには、第一線機はほとんどが単葉機となり、複葉機はパイロット志願者に航空機操縦の基本操作を学ばせる「初級練習機」としてのみ用いられるようになったが、やがてその分野にも単葉機が進出し、ほとんどが姿を消すことになる。

ただし、その後も複葉機は農業用機として長く需要があり*1グラマン社の「Agキャット」は1980年代まで生産が続けられていた。

現在でも、大きな揚力を必要とする用途(長時間滞空・高高度飛行等)は存在するが、その様な用途にはより誘導抗力が少なく効率の良い、アスペクト比の高い主翼を使う。

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*1 農業機の役目は主に「広大な農地に種・肥料・農薬を散布すること」であるが、この用途に高高度能力や高速性が求められないため、複葉機の利用価値はあった。

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