【武装偵察ヘリコプター】(ぶそうていさつへりこぷたー)

Armed Reconnaissance Helicopter (ARH)
冷戦末期に登場した、軍用ヘリコプターの新しい種別。
攻撃ヘリコプター観測ヘリコプターを兼ね、かつ強行偵察も可能な機体という、従来の軍用ヘリコプター以上に積極的な性格を持つ概念である。

従来のヘリコプターによる近接航空支援は、少数の観測ヘリコプターによる状況把握と、多数の攻撃ヘリコプターによるピンポイント攻撃に分担されていた。これらのヘリコプターは迎撃に弱いため長時間の戦域滞空ができず、かつ少数の観測ヘリコプターだけが行動不能になっただけで全体の攻撃力が失われてしまうという弱点があった。
観測ヘリコプターに武装を施すという考え方は、ヒューズ500ディフェンダーや、OH-58Dカイオワ・ウォリアーといった機種で実現されていたが、この考えをさらに発展させ、攻撃ヘリコプターとほぼ完全に統一することにより、生存性の向上と情報共有能力の向上、そして単一機種化による調達価格の節約などを狙ったものが武装偵察ヘリといえる。

こういった機種の先駆者としてRAH-66が挙げられるが、両方の機能を取り込みつつステルス性能などを追求したことで価格高騰を招き、冷戦が終結したこともあって開発は中止されてしまった。
また、その代替として民生部品を多用しコストダウンを図ったはずのARH-70も、価格高騰を招き開発中止されている。
一方で機能を欲張りすぎずに開発されたユーロコプター・タイガーは実用化され、配備がすすめられている。

日本では武装偵察ヘリに似たOH-1が開発されたが、武装としては自衛用の空対空ミサイルを持つのみで、純粋な観測ヘリコプターに近い。
メーカーの川崎重工?ではOH-1に本格的な武装を施すことも提案しているが、もともと軽量軽快さを主眼に置いた機体であるため、発展性を疑問視する声も挙がっている。

以上の機種におおよそ共通している特徴として、タンデム複座ではあるが、攻撃ヘリコプターとは逆に前席がパイロット、後席がガナーである点が挙げられる。これは敵前に露出して飛行する機会が増えるため、操縦者の視界が優先されるべきと判断されたためである。
(ただし既存の観測ヘリコプターをベースにしているサイドバイサイド座席のARH-70は例外)
また、タイガー武装偵察型やOH-1では観測装置としてRMSを装備する。これは機動性を重視して抗力の小さな形態を採ったためである。


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