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*&ruby(ぶそうていさつへりこぷたー){【武装偵察ヘリコプター】}; [#l8338df9]

Armed Reconnaissance Helicopter(ARH).~
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[[冷戦]]末期に登場した、軍用[[ヘリコプター]]の新しい種別。~
[[攻撃ヘリコプター]]と[[観測ヘリコプター]]を兼ね、かつ強行偵察も可能な機体という、従来の軍用[[ヘリコプター]]以上に積極的な性格を持つ概念である。~
[[威力偵察>偵察]]を念頭に置き、[[攻撃ヘリコプター]]と[[観測ヘリコプター]]の機種統合を目的とする。~
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[[偵察]]と[[支援>近接航空支援]]を別機種に分担すると、脆弱な[[観測ヘリコプター]]が[[戦術]]的弱点になる。~
この弱点を克服するため、[[攻撃ヘリコプター]]自体に[[偵察]]能力を与える発想から考案された。~
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設計上の特徴としては、多用途化に伴って構造が複雑化し、[[金の壁]]に直面する失敗作を産みやすい点が挙げられる。~
また、一般に[[タンデム]]複座で、[[攻撃ヘリコプター]]とは逆に前席に[[パイロット>エビエーター]]、後席に[[ガナー]]が座る。~
任務の性質的に予期せぬ遭遇戦が頻発するため、視界の良い前席は[[回避機動>マニューバー]]を行う[[パイロット>エビエーター]]に割り当てられている。~
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関連:[[RAH-66]] [[OH-58]] [[OH-1]] [[RMS]] [[ティーガー(攻撃ヘリコプター)]]

従来の[[ヘリコプター]]による[[近接航空支援]]は、少数の[[観測ヘリコプター]]による状況把握と、多数の[[攻撃ヘリコプター]]によるピンポイント攻撃に分担されていた。これらの[[ヘリコプター]]は迎撃に弱いため長時間の戦域滞空ができず、かつ少数の[[観測ヘリコプター]]だけが行動不能になっただけで全体の攻撃力が失われてしまうという弱点があった。~
[[観測ヘリコプター]]に武装を施すという考え方は、[[ヒューズ500ディフェンダー>OH-6]]や、[[OH-58Dカイオワ・ウォリアー>OH-58]]といった機種で実現されていたが、この考えをさらに発展させ、[[攻撃ヘリコプター]]とほぼ完全に統一することにより、生存性の向上と情報共有能力の向上、そして単一機種化による調達価格の節約などを狙ったものが武装偵察ヘリといえる。~

こういった機種の先駆者として[[RAH-66]]が挙げられるが、両方の機能を取り込みつつ[[ステルス]]性能などを追求したことで価格高騰を招き、[[冷戦]]が終結したこともあって開発は中止されてしまった。~
一方で機能を欲張りすぎずに開発された[[ユーロコプター・タイガー>タイガー]]や[[RAH-70>OH-58]]などといった機種は実用化され、配備がすすめられている。~

日本では武装偵察ヘリに似た[[OH-1]]が開発されたが、武装としては自衛用の[[空対空ミサイル]]を持つのみで、純粋な[[観測ヘリコプター]]に近い。~
メーカーの[[川崎重工]]では[[OH-1]]に本格的な武装を施すことも提案しているが、もともと軽量軽快さを主眼に置いた機体であるため、発展性を疑問視する声も挙がっている。~

以上の機種におおよそ共通している特徴として、[[タンデム]]複座ではあるが、[[攻撃ヘリコプター]]とは逆に前席が[[パイロット]]、後席が[[ガナー]]である点が挙げられる。これは敵前に露出して飛行する機会が増えるため、操縦者の視界が優先されるべきと判断されたためである。~
(ただし既存の[[観測ヘリコプター]]をベースにしている[[サイドバイサイド]]座席の[[RAH-70>OH-58]]は例外)~
また、[[タイガー]]武装偵察型や[[OH-1]]では観測装置として[[RMS]]を装備する。これは機動性を重視して[[抗力]]の小さな形態を採ったためである。~


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