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*&ruby(ふじそうごうかりょくえんしゅう){【富士総合火力演習】}; [#ue65658f]
毎年夏〜初秋にかけて、静岡県御殿場市の[[陸上自衛隊]]東富士演習場で行われる、日本最大規模の軍事演習。~
略称で「&ruby(そうかえん){総火演};」とも呼ばれる。~
陸上自衛隊富士学校の生徒に火力戦闘の様相を認識させる目的で1961年から開始された。~
1966年以降からは一般公開が開始された。~
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[[戦車]]・火砲の実弾(演習弾も含む)射撃や[[ヘリコプター]]からの[[空挺降下]]など、実戦を模した大規模な内容((一連の演習にかかる費用は毎年3〜4億円といわれており、「税金の無駄遣い」との批判もある。&br;  しかし、この演習で使用される実弾は生産・購入後長期間経過し、[[用途廃棄]]直前となったものを使用しているという。))である(一般公開される日にはそれが観客の眼前で行われる)ため、一連の演習を締めくくる「一般公開日(8月下旬〜9月上旬に実施)」の入場券は毎年、非常に高い競争率となる((そのため、動画共有サイトでのオンライン配信も行われており、当日、会場に入場できない者もこれを通じて観覧することができる。))。~
また、実戦部隊では北海道所在の部隊にしか配備されていない[[90式戦車]]・[[89式装甲戦闘車]]など、陸自の一線級装備が多く参加する((2012年度の演習では[[10式戦車]]が初参加し、高い能力の一端を披露した。))ことから、[[在日米軍>在日アメリカ軍]]関係者、日本国内の外国公館に駐在している外国軍の[[駐在武官]]などといった軍事専門家も招待される。~
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演習参加部隊は、静岡県・富士駐屯地に所在する[[富士教導団]]が主体となり、[[中央即応集団]]隷下部隊やその他の部隊も加わるが、近年では「統合運用」の観点から、[[海上自衛隊]]や[[航空自衛隊]]からも部隊が参加している。~
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**主な演習プログラム [#b4e73f93]
陸上自衛隊の主要装備品を順次紹介する前段演習と目標地域を敵部隊の防御陣地と想定して諸職種協同での戦闘様相を展示する後段演習の2部構成で実施される。~
***前段演習 [#n20ceed1]
-遠距離火力:[[特科]]火力([[99式自走155mmりゅう弾砲>99式自走榴弾砲]]、[[203mm自走りゅう弾砲>M110]]、[[155mmりゅう弾砲 FH70>FH70]])
-中距離火力:[[迫撃砲]](81mm迫撃砲 L16、120mm迫撃砲 RT)、[[誘導弾>ミサイル]]([[87式対戦車誘導弾]]、[[中距離多目的誘導弾]]、[[96式多目的誘導弾システム>96式多目的誘導弾]])
-近距離火力:対人障害(指向性散弾)、[[普通科]]火力([[01式軽対戦車誘導弾]]、対人狙撃銃、[[96式装輪装甲車]]、[[84mm無反動砲>カールグスタフ]]、[[89式装甲戦闘車]] 他)
-ヘリ火力(対戦車ヘリコプター[[AH-1S>AH-1]]、[[戦闘ヘリコプター]][[AH-64D>AH-64]])
-対空火力([[87式自走高射機関砲]])
-[[戦車]]火力([[74式戦車]]、[[90式戦車]]、[[10式戦車]])
-[[空挺>空挺部隊]]降下
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***後段演習(島嶼部に対する攻撃への対応) [#re2cbce1]
-部隊配置
--沿岸監視部隊等による警戒及び監視活動
--洋上における哨戒行動([[P-3C>P-3]]哨戒機)
--敵艦艇に対する攻撃([[F-2]]戦闘機)
--島嶼部に配置した部隊による戦闘
---情報収集活動
---敵艦艇及び舟艇に対する攻撃等([[88式地対艦誘導弾]]、96式多目的誘導弾システム、中距離多目的誘導弾)
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-機動展開
--先遣部隊の機動展開([[OH-1]]、[[UH-1J>UH-1]]、偵察用オートバイ、[[AH-64D>AH-64]]、[[UH-60JA>UH-60]]、[[CH-47J>CH-47]]、[[高機動車]])
--各自展開部隊の機動展開
1961年、陸上自衛隊富士学校の学生に対する演習として始まった。~
1966年からは[[自衛隊]]の広報の一環として一般公開が行われている。~
>以前は会場に観覧者を入れて公開していた(当時は8月末に公開演習が行われていた)が、2020年からの新型コロナウイルスの世界的流行により、会場に観覧者を入れず、インターネットの動画配信サイト上で公開する形に切り替えられた(この時、時期も5月末に移行している)。

-奪回
--島嶼部に機動展開した部隊による奪還
---水陸機動部隊の上陸
---島嶼部に展開した部隊主力による戦闘~
1.[[偵察]]活動([[87式偵察警戒車]]、[[軽装甲機動車]]、偵察用オートバイ)~
2.攻撃準備射撃(特科火砲)~
3.射撃支援(87式対戦車誘導弾、74式戦車)~
4.障害処理援護射撃(特科火砲)~
5.障害処理([[92式地雷原処理車]])~
6.前進支援射撃(特科火砲)~
7.攻撃前進(10式戦車、89式装甲戦闘車)~
8.突撃支援射撃(特科火砲、迫撃砲)~
9.突撃(90式戦車)~
10.戦果拡張~
演習の主たる目的は、現代の火力戦がいかなる様相を呈するものかを学生に体験させること。~
[[富士教導団]]が主体となり、[[陸上総隊]]隷下の[[部隊]]などを抽出して実施される。~
近年では「統合運用」の観点から、[[海上自衛隊]]や[[航空自衛隊]]からも[[部隊]]が参加している。~
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(以上は平成26年度のプログラム)~
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例年、訓練そのものは7月から準備を始め、8月にほぼ1か月をかけ、さまざまな状況を想定した演習((「団予行」「学校予行」「教育演習」があり、学校予行・教育演習などの夜には夜間演習も行われる。))が非公開で行われる((この「非公開演習」は富士学校が主催。))。~
>この一連の演習にかかる費用は毎年3〜4億円といわれ、「贅沢な花火大会((日本国内で大規模な花火大会を開催するのと同程度の費用であるという。))」と揶揄・批判される向きもある。~
とはいえ、弾薬は保管していても経時劣化して[[用途廃棄]]されるので、演習などで適宜消費した方が望ましいのも事実ではある((実際、この演習で使用される弾薬は所定の保管期間が経過して[[用途廃棄]]直前になったものが使われるという。))。~
また、[[自衛隊]]では最大規模の実弾演習であることから、参加する[[隊員>自衛官]]の[[士気]]高揚にも役立っているという((「[[たまに撃つ弾が無いのが玉に傷]]」という言葉もあるように、[[自衛隊]]は他国の軍隊に比べても弾薬の備蓄が少ない特徴がある。))。~


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