【不名誉除隊】(ふめいよじょたい)

Dishonorable discharge(米).

アメリカ合衆国において軍人に課せられる懲戒処分の一つ。
軍法会議の決定によって強制的に軍籍を剥奪すること。
現役の将兵のみならず、予備役や退役軍人も対象となる。

不名誉除隊された時点で、退職金・恩給など退役軍人が受けられる権利の全てが差し止められる。
また、予備役などの軍務への関与も全面的に禁止され、現役であれば手続き完了まで拘留される。
階級も剥奪され、何らかの理由で階級が問題になるなら元の階級に関係なく、最下層の二等兵として扱われる*1
加えて、「不名誉除隊処分を受けた」という事実の隠蔽が禁止され、履歴書などに「不名誉除隊にされた」旨を明記する必要がある。
詳細は州によって異なるが、上記に加えて医療保険や市民権(選挙権・武装権など)なども停止される*2

この処分は通常、国家に対する深刻な背信行為を働いた者に対する法的な報復措置で、「戦闘中の敵前逃亡」「任務中の性的暴行・猟奇殺人」「他国スパイへの内通」などを主な事由とする。
軍隊内での犯罪は軍法会議に基づいて通常の刑事処分が科されるが、全ての犯罪者が不名誉除隊されるわけではない。


*1 真っ当に軍務を勤め上げた者が二等兵のまま昇進せずに退役することはありえないので、これは極めて侮辱的な処置である。
*2 アメリカ合衆国の市民権は「忠誠の宣誓」に基づく契約であるので、憲法解釈上、祖国を裏切った者に対しては契約を破棄して市民権を剥奪できる。

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