【表面効果翼機】(ひょうめんこうかよくき)

飛行機の一種で、表面効果を利用して高い揚力を得、それを利用して大量のペイロードを見込んだもの。

地上や水上をすれすれで飛行することは、墜落する危険や大気の濃さなどから速度をあまり上げることができない一方、表面効果を利用して揚抗比を向上させることができるため、輸送機などとして適するのではないかと考えられている。
このうち、水上飛行を前提とした飛行艇を水面効果翼船(SES: Surface Effect Ship)、陸上飛行を前提とした機体を地面効果翼機(WIG: Wing In Ground-effect vehicle)と呼ぶ。

SESは揚陸作戦に適するとしてソ連軍で「エクラノプラン」の名称で研究された時期があり、その機体の大きさから「カスピ海の怪物」と仇名されていた。
しかし実際には多少の高波が来ただけで飛行に支障をきたしてしまうため、外海で運用されることはなかった。

またSESは離水時に大きな推力を必要とする欠点があったが、近年の小型SESでは双胴型船体の中央をリフティングボディに見立ててダウンウォッシュをさらに圧縮したり、あるいは主翼に直接プロペラ推力を当てることで高い揚力を得るといった対策が採られている。
これらはエアクッション艇の一種に分類されることもあるが、俗に言うホバークラフトとは異なりホバリング(空中静止)はできない。

WIGは「長距離連続する平地」という特殊な地形でなければ運用できないため、あまり研究が進められていなかったが、近年ではモンゴルなどの広大な平原で連絡・輸送をするための研究が進められている。
また、長距離の溝などを建造してそこを飛行させれば、壁面によりさらにダウンウォッシュが圧縮され、コスト・パフォーマンスに優れる公共輸送機関(エアロトレイン)を実現できるのではないかとする研究もある。


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