【熱電発電】(ねつでんはつでん)

異種金属を接合し、それぞれに温度差を与えると電流が流れるゼーベック効果*1を用いた発電方法。

発電用途には一般に、熱電素子として半導体のP-N型を接合したものを複数繋いで用いる。
小さな温度差でも動作でき、温度差は世の中に溢れている。また、可動部が無く、信頼性が非常に高い。
しかしながら、熱電素子の両端に効率良く温度差を与えることが難しく、温度差が高ければ高いほど高出力になるが、そうなると素子が持たなくなるため、エネルギー効率は低い(数%)。
このため、時計等消費電力の低い機器に用いられている。
また、大規模発電には向かないが一切環境汚染をしないため、廃熱の有効利用としての研究も進められている。

応用として、温度差を与える手段として原子力を用いる「原子力電池」や「宇宙用原子炉」がある。
原子力電池は、放射性同位体の発する放射線を別の物質に吸収させ、発生する熱を温度差として利用する発電で、別名「ラジオアイソトープ電池」とも呼ばれる。
太陽光が届かず、高い信頼性が求められる深宇宙や深海で用いられる。
宇宙用原子炉は、原子力電池を遥かに超える出力を必要とする用途に向けて研究されているもので、宇宙探査機の電源としてだけではなく、電気ロケットの電力としても考えられている。

参考リンク(原子力電池):http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/08040208_1.html
参考リンク(宇宙用原子炉):http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/03041103_1.html


*1 1821年に発見された原理で、PCの水冷等でも知られている「ペルチェ効果」とは逆のものである。

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