【二重反転ローター】(にじゅうはんてんろーたー)

ヘリコプターに搭載されるローターの一種。メインローターを二つ重ね、それぞれを逆方向で回転させるもの。

通常のローターはそれ自体の回転と同じく機体全体も回転させようとする性質があり、これを制動するテイルローターを必要とする*1
一方、二重反転ローターは2つのローターが互いの慣性を中和させる事で回転運動を抑制し、テイルローターを不要とする。
テイルローターが不要なのでこれを設置するための長大なテイルブームも不要になる*2

これによって収納スペースを取る長大な「尻尾」がなくなり、機体はコンパクトになる。
流体力学的な構造も単純になるので悪天候に強く、バイタルパートでもあるテイルローターが消えたため被弾時の生存性も向上する。
一方、ローターの複雑な機構は故障を誘発し、整備員の負担を高めて稼動率を下げ、維持費も増える。

総じれば艦上運用・戦闘用に適した構造であり、対潜ヘリコプター攻撃ヘリコプターによく見られる。

民生用としてはあまり用いられていないが、悪天候下での災害救助を目的とした一人乗りの小型二重反転式ヘリコプターも研究が進められている。

関連:カモフ QH-50 Ka-25 Ka-27 Ka-50

http://www.masdf.com/altimeter/maks2007/fly1/s/IMG_8732.jpg
Ka-52


*1 テイルローターの故障したヘリコプターが独楽のようにきりもみ回転しながら墜落するのはこのためである。
*2 実際には巡航時の安定性を確保するため、ごく短いテイルブームを備える。

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