【特別高等警察】 †
戦前または戦時中の日本において存在した秘密警察あるいは政治警察のことである。
戦前の府県庁に設けられた警察担当部局の長である警察部長を経由し、府県知事の地方行政官である、地方長官の指揮を受ける一般の警察とは異なり、内務省じきじきに指揮を受ける特別な警察組織であった。
被疑者の自白を引き出すために、暴力を伴う過酷な尋問?や拷問?を加えた記録が数多く残っているなど、「特高警察」や「特高」という名は畏怖の対象となっていた。
特高が設置された当初はリストアップされた社会主義者などを監視することであったが、次第に共産主義者、社会主義者だけではなく、軍人や右翼による暗殺・クーデターの取り締まり、スパイ取締り、キリスト教などの宗教団体の取り締まり、国民の反体制的な言動や反体制の者を監視、取締りを行っていくようになる。
特高の誕生と全国への広がり †
1910年の大逆事件を契機に警視庁に特別高等課（以下特高課）が設けられたことに端を発し、1922年以降北海道や大阪など主要9府県などの警察にも「特高課」が設置された。
1928年の「三･一五事件」*1をうけて、全府県に「特高課」が設置された。
解散と逆コース †
1945年10月4日、GHQの命令により特高は「治安維持法」と共に廃止され、特高に関連する官僚たちのほとんどが、公職追放されたが、いわゆる「逆コース」によって、後に自治省や警察庁などの幹部職に復職するものもいた。
またGHQの占領政策において、社会主義運動に対する制限が設けられたことも重なり、特高から問責･処罰を受けたものは存在せず、逆に元特高関係者はGHQの方針に従い、いわゆる「レッドパージ」の急先鋒として役割を担った。
