【鉄条網】(てつじょうもう)

barbed wire.

茨のようにとがった形状に加工された針金の網。
主に屋外で柵を形成し、動物や人間の侵入を阻止する障害システムとして運用される。
また、人間がよじ登るのを防ぐために壁の天辺に仕掛けられる事もある。

構造上、榴弾などで遠隔的に破壊するのは非常に困難。
破壊するためには工兵突撃して切断するか、戦車などの装甲車両が踏み潰す必要がある。
または上から分厚い覆いをかぶせる事で無害化し、その上を通って踏み越える場合もある。

そのための覆いとして最も一般的に用いられるのは歩兵の死体で、その次に一般的なのはまだ生きている歩兵である。
ボディアーマーを着ていれば鉄条網での負傷は避けられるが、覆い被さった本人は突破できずに取り残されるというリスクがある。

とはいえ、単体では人間を短時間押しとどめるだけの効果しかなく、地雷機関銃との併用が望ましい。

元々はアメリカの西部開拓時代、広大な平原で生活するカウボーイ達が発明したものとされている。
木材・石材ともに極めて貴重な大平原の片隅に、必要最小限の物資で牧場を覆う柵を作る事を目的としていた*1
その後、家畜泥棒への対策として対人殺傷性が進化し、やがて塹壕に利用されるようになった。
第一次世界大戦においては各国が大々的に採用し、泥沼の塹壕戦を引き起こす原因の一つとなっている。


*1 ちなみに、有刺鉄線が発明される以前には、現地に自生していたオセージ・オレンジの尖った茎が生け垣として利用されていた。

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