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*&ruby(てったい){【撤退】}; [#f6f8a160]
戦闘中の[[軍隊]]が、陣地を取り払ってより後方へ下がること。~
秩序だった行動が出来ている際に用いられる。~
(秩序だった行動がとれず、各自が勝手に逃げ出すような事態になると「潰走」や「敗走」となる)~
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たとえ[[戦略]]・[[戦術]]的に意味が無い陣地であっても、それを遺棄することは[[士気]]への悪影響が考えられるため、「転進」と言い換えること(([[大東亜戦争]]時の日本では、部隊が全滅するような損害を受けた際にもそのように言い換えられていた。「[[玉砕]]」の項も参照。))もある。~
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撤退中の戦闘を出来る限り避けるため、実行は敵の攻撃を受けにくい夜間に行われることが多い。~
また、撤退に先立って、放棄する陣地に各種トラップ([[地雷]]・[[IED]]など)を仕掛けておいたり、敵に最も近い位置で(あえて全滅することを前提に)迎え撃つ「&ruby(しんがり){殿};」と呼ばれる部隊を置くこともある。~
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撤退は、前進よりはるかに難しい。~
追手に対して、対象となる全ての[[部隊]]が陣形を維持したまま後方へ移動しなければならないからである。~
また、その後方では、[[兵站]]のための車両(補給車など)がスケジュールに従って動いているため、前進しようとする車両と後退してきた兵士・車両が入り乱れて大混乱となる可能性がある。~
一部の撤退が遅れると敵中に孤立する可能性があるし、撤退中に一部が撃破されるとそれが全体に波及して敗走となることがある。~
また、後方への通知が上手くいってないと「同士討ち」となる危険がある。~
敵は撤退に気づけば猛攻を仕掛けてくることが多いため、最後尾は非常に危険である。~
~
*&ruby(てったい){【撤退】}; [#me86cf02]
withdraw / retreat

[[軍隊]]がある地域での[[作戦]]行動を中断し、[[展開]]した[[部隊]]を帰還させる事。~
現地に構築された[[兵站]]網を撤去し、資材などもまとめて組織的・計画的に帰投する。

基本的には、[[作戦]]目的の完遂が不可能もしくは無意味と判断された時に発令される。~
軍上層部の正式な司令なしに越権行為として行われた撤退は[[敵前逃亡]]として[[軍法会議]]の対象となる。

>整然と帰投できずに甚大な混乱が生じた場合は特に「潰走」「敗走」と言う。~
また、[[作戦]]目的の完遂を理由として帰還する場合は「凱旋」と言い、撤退とは区別される。

行う行動の性質上、撤退中に戦闘が発生すると[[兵站]]が不備なまま戦う事を余儀なくされる。~
事実、近代以前の戦争では死傷者のほぼ全てが撤退する敵への追撃で発生していたという報告もある((例えば、二人の兵士が武器を手にして睨み合う場合、攻撃の予兆を見逃す事はまずないし、防御するのも容易である。&br;  しかしどちらかが武器を放り出して背中を向けた場合、敵の背後から容易に致命的な一撃を加える事ができる。&br;  大規模な[[部隊]]でも基本的には同様であり、撤退する敵ほど奇襲しやすい相手はいない。))。~
このため、最前線からの撤退は攻撃を受けにくい夜間に行われる事が多い。~
また、撤退中の攻撃を遅延させるために[[地雷]]・[[IED]]・[[狙撃手]]などを配備しておく事も多い。~
無傷での撤退が不可能と目される場合、[[再編成]]までの時間を稼ぐために別働隊が[[死守]]を行う事もある((古来の戦記では「&ruby(しんがり){殿};」として知られ、自殺を命じられたも同然ではあるものの、真に信頼に値する武人にのみ命じられる任務として名誉の対象ともされる。))。~

前線からの撤退は指揮官に与えられる任務として最も難しいものの一つとされる。~
[[作戦]]行動の要訣である「事前周知の徹底」が極めて困難なためである。~
撤退の計画が敵の[[スパイ]]に察知された場合、まず間違いなく奇襲を受けて甚大な被害を生じる。~
そして時間をかけて周知を徹底すればどうあっても[[スパイ]]に察知される事は避けられない。~
そのため、撤退命令は突如として下される事が多く、多くの場合に交通渋滞などの大混乱を引き起こす。~

>加えて、戦時の軍隊は「何故そこにいるのかわからない[[部隊]]」を敵であると仮定して行動する。~
このため、撤退などの予定外行動を取る[[部隊]]が敵だと誤認されて同士討ちに至る事もある。

関連:[[玉砕]] [[死守]]


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