【撤退】(てったい)

戦闘中の軍隊が、陣地を取り払ってより後方へ下がること。
秩序だった行動が出来ている際に用いられる。

たとえ戦略戦術的に意味が無い陣地であっても、それを遺棄することは士気への悪影響が考えられるため、「転進」と言い換えること*1もある。
秩序だった行動がとれず、各自が勝手に逃げ出すようになると、「潰走」や「敗走」となる。
敵の攻撃を受けにくい夜間に行われることが多い。

撤退は前進よりはるかに難しい。
追手に対して、対象となる全部隊が陣形を維持したまま後方へ移動しなければならないからである。
また、その後方の道路は、補給車などがスケジュールに従って動いているため、車両が入り乱れて大混乱となる可能性がある。
一部の撤退が遅れると敵中に孤立する可能性があるし、撤退中に一部が撃破されるとそれが全体に波及して敗走となることがある。
また、後方への通知が上手くいってないと「同士討ち」となる危険がある。
敵は撤退に気づけば猛攻を仕掛けてくることが多いため、最後尾は非常に危険である。

撤退中の戦闘を出来る限り避けるため、陣地には各種トラップ(地雷IEDなど)を仕掛けておく。
また、全滅を前提として敵の遅滞を行う「殿(しんがり)」と呼ばれる部隊を置くこともよくある。


*1 大東亜戦争時の日本では、部隊が全滅するような損害を受けた際にもそのように言い換えられていた。「玉砕」の項も参照。

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