【通報艦】(つうほうかん)

Dispatch Boat(英)、Aviso(仏)
かつて存在した小型戦闘艦艇の一種で、海戦に至る前の前哨として斥候を行うための艦。

外洋航行能力を持つ小型艦艇に無線機を搭載し、敵艦隊の兵力構成・位置・予想針路などの偵察を行わせていた。
細分すると、艦隊に付属する「艦隊通報艦」と、海外領土や植民地を警備する「植民地通報艦」がある。

発見された際は撤退を念頭に置くため、船体はコルベットフリゲートに近い。
独立した「通報艦」という艦種を設けず、コルベットフリゲートを流用した場合も多い。

20世紀初頭、電信技術が改良され、無線機が艦艇の標準装備となると共に廃れていった。
現代でも海上偵察は必須の作戦行動だが、それはほぼ全ての艦艇で、または艦載機でも実行可能である。
ただし、現代でもコルベットを通報艦として運用する向きはある。

主な通報艦

第二次世界大戦前・戦中

  • フランス
    • アミラル・ペレスヴァル
    • アラ級通報艦
    • マルヌ級通報艦
    • アンクル級通報艦
    • ブーゲンヴィル級通報艦
  • 日本
    • 八重山
    • 千島
    • 龍田
    • 宮古
    • 千早
    • 淀型
    • 姉川(鹵獲艦、元ロシア帝国仮装巡洋艦(後に病院船)「アンガラ」)
    • 満州(鹵獲艦、旧ロシア帝国汽船(ロシア東清鉄道貨客船)「マニジューリヤ」)
    • 鈴谷(鹵獲艦、元ロシア帝国二等防護巡洋艦「ノヴィーク」)
  • イタリア
    • エリトリア
  • ドイツ
    • ローレライ
  • ポルトガル
    • アフォンソ・デ・アルブケルケ級通報艦

第二次世界大戦後

  • フランス
    • コマンダン・リヴィエル級フリゲート
    • デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦(A69型)
  • ポルトガル
    • ジョアン・ベーロ級フリゲート
    • ジョアン・コチーニョ級コルベット
    • バッティスタ・デ・アンドラーデ級フリゲート
  • ウルグアイ
    • ウルグアイ級フリゲート(元コマンダン・リヴィエル級フリゲート「コマンダン・ブールデ」)
  • アルゼンチン
    • ドゥルモンド級フリゲート(A69型)*1
  • トルコ
    • B型コルベット(A69型)
  • エジプト/モロッコ

*1 3隻が就役しているが、うち2隻は当初、南アフリカ海軍向けの「グッド・ホープ」級として建造されていたものが、国連安保理決議により南アフリカへの輸出が差し止められたもの。

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