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*&ruby(ながと){【長門】}; [#jd2966a5]
[[八八艦隊]]計画の第一段として建造された、日本海軍の[[超ド級]][[戦艦]]。姉妹艦に陸奥がある。~
[[八八艦隊]]計画の第一段として1920年代に建造された、[[日本海軍>日本軍]]の[[超ド級]][[戦艦]]。~
姉妹艦に「[[陸奥]]」がある。~
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[[列強]]各国の[[主力戦艦>戦艦]]に差をつけるため、初めて[[口径]]41センチという当時の世界最大の[[主砲>艦載砲]]を取り付けた。~
また[[主砲塔>砲塔]]の位置も、[[扶桑]]型や[[伊勢>日向]]型では中央の[[砲塔]]が前後両方に向けられなかった戦訓を活かして、[[金剛>金剛（巡洋戦艦）]]型と同じく船体前後二基ずつの配置になっている。~
その上列強（特に[[仮想敵国]]のアメリカ）各国海軍の[[主力戦艦>戦艦]]より5kt以上速い高速戦艦として設計された。~
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だが二番艦「[[陸奥]]」の竣工直後に[[ワシントン海軍軍縮条約]]が締結されたため[[八八艦隊]]計画は潰え、しばらくの間、本艦と陸奥は世界最大の[[戦艦]]として君臨することとなった。~
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1940年代に[[大和>大和（戦艦）]]が竣工するまで[[連合艦隊]][[旗艦]]をつとめ、数次の改装が行われながらもその姿は最も日本国民に親しまれたと言える((この当時の子供のカルタにも「[[陸奥]]と長門は日本の誇り」とうたわれていた。))。~
>また、本艦の存在自体が[[仮想敵国]]に対する[[抑止力]]となっていたことを表す、このようなエピソードも語られている。~
――1930年代初頭、満州事変により中国大陸への進出を強める日本に危機感を抱いた米大統領が[[海軍>アメリカ海軍]]長官に~
「いま日本を攻めることはできないか？」~
と諮問したところ、海軍長官は~
「ダメです。日本にはナガトがいます」~
と答えたという((ちなみにこの時、本艦は改装工事のためドック入りしており、[[艦隊]]にあったのは[[陸奥]]の方であったともいう。))。
列強各国の[[戦艦]]に差をつけるためにも初めて[[口径]]40センチという当時の世界最大の主砲を取り付けた。また主砲塔の位置も、[[扶桑]]型や[[伊勢]]型の中央砲塔が前後両方に向けられなかった戦訓を活かして、[[金剛]]型と同じ船体前後二基ずつの配置になっている。その上列強（特に[[仮想敵国]]のアメリカ）各国海軍の主力[[戦艦]]より5kt以上速い高速戦艦として設計された。~
しかし、[[大東亜戦争]]開戦時には既に旧式化しており、また、[[大艦巨砲主義]]から[[航空主兵主義]]へと[[戦闘の思想>ドクトリン]]が移り変わっていたため、これと言った活躍はできなかった。~
>[[空母>航空母艦]]や[[金剛>金剛（巡洋戦艦）]]型戦艦((もと[[巡洋戦艦]]であったため、30ノットの速力を発揮でき、[[航空母艦]]にも追随可能であった。))を含む[[機動部隊]]が各地に転戦したのに対し、本艦を含む6隻の戦艦からなる第一・第二[[戦隊]]は、戦争の中期まで瀬戸内海・柱島泊地やトラック環礁にとどまり続けたため「柱島艦隊」「トラック御殿」とも揶揄された((これは、先述の[[金剛>金剛（巡洋戦艦）]]型に比べて速力が遅かったことと[[対空火器>高射砲]]の脆弱さから、航空戦への対応が困難であったことと、海軍自体の厳しい[[燃料]]事情が原因としてあった。))。
日本海軍の[[戦艦]]で、[[大東亜戦争]]を最後まで生き抜いた唯一の艦だったが、終戦に伴い[[アメリカ軍]]に接収され、翌年7月にビキニ岩礁で行われた「クロスロード作戦」という二度にわたる[[原子爆弾]]実験の標的艦として使用された。~
一度目の空中爆発実験「ABLE（エイブル）」では致命的損傷を受けず（爆心地方向の装甲表面が融解したのみ）、二度目の水中爆発実験「BAKER（ベーカー）」で殆どの艦船が一瞬で轟沈する中、長門はわずかに傾斜するも沈没する気配をみせず、抜群の難沈性を示した((しかし、本艦と同条件、もしくはより爆心に近い海域にいながら被爆に耐え、沈没しなかった艦（米[[戦艦]]「ネバダ」、[[軽空母]]「インディペンデンス」、独[[重巡>重巡洋艦]]「プリンツ・オイゲン」など）もある。))。~
そして5日後、誰にも看取られることなく忽然と海中に姿を消した。~
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だが二番艦陸奥の竣工直後に[[ワシントン海軍軍縮条約]]が締結されたため[[八八艦隊]]計画は潰え、しばらくの間長門は世界最大の[[戦艦]]として君臨することとなった。~
現在、長門沈没地点はダイビングスポットとしてこの地の貴重な観光資源となっている。~
沈没状態とはいえ、[[ビッグ7>ビッグセブン]]の中で一応形が残っているのは長門だけである。~
現状は上下逆さまで沈没しており、艦橋部分は折れている。~
**スペックデータ [#r7b1cdf1]
|>|>|CENTER:''数値は新造時と1936年（昭和11年）に行われた最終改装後のものである。''|
|CENTER:-|CENTER:長門|CENTER:陸奥|
|CENTER:[[基準排水量]]&br;（新造時/改装後）|CENTER:32,720t/39,130t|CENTER:32,720t/39,050t|
|CENTER:常備[[排水量]]|>|CENTER:33,800t|
|CENTER:[[公試排水量]]|CENTER:43,580t|CENTER:43,400t|
|CENTER:全長&br;（新造時/改装後）|>|CENTER:215.80m/224.94m|
|CENTER:全幅&br;（新造時/改装後）|>|CENTER:28.96m/34.6m|
|CENTER:[[喫水]]&br;（新造時/改装後）|CENTER:9.08m/9.49m|CENTER:9.14m/9.46m|
|CENTER:主缶&br;（新造時）|>|CENTER:ロ号艦本式専焼缶×15基&br;ロ号艦本式混焼缶×6基|
|CENTER:（改装後）|>|CENTER:ロ号艦本式専焼缶×10基（大型4基+小型6基）|
|CENTER:主機|>|CENTER:艦本式オールギアードタービン×4基 4軸推進|
|CENTER:軸馬力&br;（新造時/改装後）|>|CENTER:80,000shp/82,000shp|
|CENTER:[[燃料]]搭載量&br;（新造時）|>|CENTER:重油3,400t、石炭1,600t|
|CENTER:（改装後）|>|CENTER:重油5,600t、石炭57.8t|
|CENTER:最大速力&br;（新造時/改装後）|>|CENTER:26.5kt/24.35kt((実際には[[魚雷]]回避のため同一方向へ27ノットで走る[[大和>大和（戦艦）]]に追従出来たといわれる。))|
|CENTER:[[航続距離]]&br;（新造時/改装後）|>|CENTER:16ktで5,500海里/16ktで8,650海里|
|CENTER:乗員&br;（新造時/改装後）|>|CENTER:艦長以下1,333名/艦長以下1,368名|
|CENTER:主砲|四一式45口径40cm連装砲×4基|四一式40.6cm連装砲×4基|
|CENTER:副砲|>|CENTER:四一式50口径14�冀荏�砲×20基（新造時）&br;同単装砲×18基（改装後）|
|CENTER:[[高角砲>高射砲]]|>|CENTER:8cm単装高角砲×4門（新造時）&br;40口径12.7�冢∩�高角砲×4基（改装後）|
|CENTER:[[機銃]]|>|CENTER:新造時：三年式機銃×3挺&br;改装後：7.7mm機銃×3挺、40mm連装機銃×2基、25mm連装機銃×10基|
|CENTER:[[魚雷]]|>|CENTER:53cm水中・水上魚雷発射管×8本（新造時、改装後は撤去）|
|CENTER:[[艦載機]]|>|CENTER:[[水偵>偵察機]]×3機搭載（改装後）|
|CENTER:装備|>|CENTER:[[カタパルト]]×1基（改装後）|
|CENTER:[[装甲]]&br;（新造時）|水線：305mm&br;甲板：70+75mm&br;主砲前盾：305mm&br;主砲天蓋・副砲廓：152mm|水線：305mm&br;甲板：75+70mm&br;主砲前盾：305mm&br;主砲天蓋・副砲廓：152mm|
|CENTER:（改装後）|水線：305mm&br;甲板：70+127mm&br;主砲前盾：457mm&br;主砲天蓋：250mm&br;副砲廓：152mm|水線：305mm&br;甲板：75+127mm&br;主砲前盾：457mm&br;主砲天蓋：250mm&br;副砲廓：152mm|
|CENTER:[[電探>レーダー]]&br;（[[レイテ沖海戦]]時）|CENTER:21号電探×1基&br;22号電探×2基&br;13号電探×1基|CENTER:-|
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日本海軍では[[大和]]竣工まで[[連合艦隊]]旗艦をつとめ、数次の改装が行われながらもその姿は最も日本国民に親しまれたと言える。
[[太平洋戦争]]開戦時には既に旧式化しており、また[[大艦巨砲主義]]から[[航空主兵主義]]へと戦闘の思想が移り変わっていたため、これと言った活躍は無かった。~
**略歴 [#e48dcb64]
~
[[太平洋戦争]]を最後まで生き抜いた唯一の日本海軍[[戦艦]]だったが、終戦に伴い[[アメリカ軍]]に接収され、翌年7月にビキニ岩礁で行われた二度にわたる[[原子爆弾]]実験の標的艦として使用された。 一度目の空中爆発では致命的損傷を受けず、二度目の水中爆発で殆ど艦船が一瞬で轟沈する中、長門はわずかに傾斜するも沈没する気配をみせず、抜群の難沈性を示した。そして五日後、誰にも看取られることなく忽然と海中に姿を消した。~
|>|CENTER:''長門''|
|1917年 8月28日|呉海軍工廠で起工。|
|1919年11月 9日|進水|
|1920年11月15日|竣工|
|1936年 2月26日〜|[[二･二六事件]]に際し、叛乱部隊鎮圧のため東京湾に展開。|
|1941年12月 8日〜|[[連合艦隊]]旗艦として、[[大東亜戦争]]に参加。|
|1942年 2月12日|[[連合艦隊]]旗艦を「[[大和>大和（戦艦）]]」に移し、第一艦隊に編入。|
|1942年 5月29日〜|[[ミッドウェー海戦]]に参加。|
|1943年 8月23日|トラック島に進出。|
|1944年 6月19日|[[マリアナ沖海戦]]に参加。|
|1944年10月23日|[[レイテ沖海戦]]に参加((このとき、アメリカの[[護衛空母]]群に向けて主砲を発射したのが、最初で最後の対艦戦闘になった。))。|
|1945年 6月 1日|横須賀[[鎮守府]]の「特別警備艦」に類別(([[燃料]]の不足と、[[海上>制海権]]・[[航空優勢]]を敵に掌握されていたため外洋に出ることができず、[[連合国>連合国（第二次世界大戦）]]軍地上部隊が本土（関東地方）へ上陸侵攻してきた際に浮き砲台として使われる予定だったという。))。|
|1945年 9月15日|終戦のため除籍。米軍に引き渡される。|
|1946年 7月 1日|ビキニ環礁にて[[原爆>原子爆弾]]実験の標的艦として使用。|
|1946年 7月25日|原爆実験の標的艦として再度使用。|
|1946年 7月29日|沈没|
|>|CENTER:''陸奥''|
|1918年 6月 1日|横須賀海軍工廠で起工。|
|1920年 5月31日|進水|
|1921年10月24日|竣工|
|1927年 1月|艦首形状を変更。|
|1934年 9月 5日|改装工事開始。|
|1936年 9月30日|改装工事完了。|
|1941年12月 8日〜|「長門」と共に第一戦隊（連合艦隊直属）を組み、大東亜戦争に参加。|
|1942年 2月12日|「長門」と共に第一艦隊へ編入。|
|1942年 5月29日〜|[[ミッドウェー海戦]]に参加。交戦無し。|
|1942年 6月 6日|帰投|
|1942年 8月17日|トラック島に進出。|
|1943年 6月 8日|広島湾沖柱島泊地停泊中に後部三番[[砲塔]]付近の火薬庫にて原因不明の爆発、沈没|
|1943年 9月 1日|除籍|
|1948年|艦の搭載物資のサルベージ作業開始。|
|1970年|起重機船を使用したサルベージ作業開始。&br;艦首部分や武装の一部など、艦体の約70％が引き上げられた。|
~
1917年 8月28日 呉工廠で起工~
1919年11月 9日 進水~
1920年11月15日 竣工~
1941年12月 8日〜連合艦隊旗艦として、太平洋戦争に参加~
1942年 5月29日〜ミッドウェイ海戦に参加~
1943年 8月23日 トラック島に進出~
1944年 6月19日〜 マリアナ沖海戦に参加~
10月23日〜 レイテ沖海戦に参加~
1945年 6月 1日 横須賀の特別警備艦に類別~
9月15日 終戦のため除籍。米軍に引き渡される~
1946年 7月 1日 ビキニ環礁にて原爆実験の標的艦として使用~
7月25日 原爆実験標的艦として再度使用~
7月29日 沈没
スペックデータ（最終改装（昭和11年）後）~
排水量：43,580ｔ~
ボイラー：ロ号艦本式罐・重油焚×10基 ~
燃料搭載量：重油5780ｔ~
全長：224.94ｍ~
全幅：34.6ｍ~
主機：艦本式オールギヤードタービン×4基、4軸推進~
吃水：9.49ｍ~
出力：82,000hp~
武装：45口径40�冢∩�砲4基、50口径14�冀荏�砲18基~
40口径12.7�冢∩�高角砲4基、25mm連装機銃10基~
水偵3機搭載~
最大速力：25.0kt~
航続距離：16ktで10600浬~
乗員定数：1,368名
