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*&ruby(ちょうちへいれーだー){【超地平レーダー】}; [#cdffac0b]
Over-The-Horizon Rader.~
「OTHレーダー」または「超水平線レーダー」とも。~
従来の[[(マイクロ波)レーダー>レーダー]]では見通せない水平線の彼方を見ることが出来るレーダーである。~
~
**OTH-B [#bea48fc5]
Over-The-Horizon-Backscatter.~
電離層F層(高度200〜400km付近)が減衰の少ない電波のミラーとなる短波(5〜30MHz)帯を使い、レーダー波を直接目標に浴びせるのではなく、一旦電離層に向けて発射し、これを反射させることによって地平線以遠を見通せるようにしたもの。~
探知距離は3000kmにも達する。~
地上設備には半径数百m〜数kmの巨大なアンテナを複数用いるが、それでも解像度は「何かがある」のがわかる程度と言われている。~
「OTHレーダー」「超水平線レーダー」とも。~
地平線・水平線よりも遠い場所を走査できる[[レーダー]]。~
[[周波数]]や機械的要件が異なるため、通常のレーダー機器とは互換性がない。~
~
[[弾道ミサイル]]発射の探知などに用いられたが、現在では[[衛星>軍事衛星]]を使うことが出来るため、軍事用途での役割は縮小している((代わりに気象観測などでの応用が考えられている。))。~
物体に向けて直接レーダー波を照射しても地面に遮られるので、代わりに以下のメカニズムで影像を取得する。

+[[短波]]帯の[[電波>電磁波]]を上空へと照射する。
+[[短波]]は電離層(F層)まで到達した所で電離した大気によって反射され、地上に入射する。~
+[[短波]]は地上または上空で物体に衝突し、反射して上空に戻っていく。
+[[短波]]は再び電離層に到達して反射され、送信機器付近に向かって入射する。
+戻ってきた[[短波]]を地上のアンテナ施設が受信し、これを解析して影像を得る。

>電離層で反射する性質を利用できるのは短波の場合のみ。~
[[周波数]]が高すぎると電離層を貫通して宇宙の彼方へ消えていく。そのため通常のレーダー波(マイクロ波)は利用できない。~
[[周波数]]が低すぎると電離層で減衰するので受信機まで届かない。

>レーダー全般に言える事だが、電波送信機と受信アンテナが一対になっている必要はない。~
特にOTHレーダーは分解能が低いため、同じ発信源からの電波を多数のアンテナで受け取るようになっている。

探知距離は3000kmにも達する反面、分解能はきわめて低い。~
[[艦艇]]にさえ搭載できないほど巨大なアンテナ群が必要不可欠で、それでもなお物体の輪郭はほとんど識別できない。~
このため、物体の存在とおおよその位置・動きだけで事態を類推できる状況で運用する必要がある。~
~
短波は民間でも各種無線通信に広く用いられているため、OTHを使用すると短波にウッドぺッカー信号と呼ばれるノイズが発生する。~
~
主たる監視対象は[[ミサイルサイロ>サイロ]]([[大陸間弾道ミサイル]])・空域([[UFO]]・気象)・海域(密輸・不審船)など。

**ウッドペッカー・ノイズ [#o2cd0d0d]
OTHレーダーは無線・ラジオ放送に一般的に用いられている[[短波]]帯の[[電磁波]]を用いている。~
このため、OTHレーダーはラジオや無線機を混信させ、キツツキ(ウッドペッカー)が木を叩くような独特のパルス音を生じさせる。~
また、OTHレーダーを妨害するための[[ジャミング]]が行われると、それによって[[短波]]帯の無線通信・放送も妨害される。


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