【超音速巡航】(ちょうおんそくじゅんこう)

supercruise

航空機超音速で長時間に渡って航行し続ける事。
“長時間”という前提のため、アフターバーナーによる短期的な超音速飛行は要件を満たさない。

ただし、機構として最も難しい初期加速をアフターバーナーで賄う設計は多い。
いったん音の壁を突破した後、ドライ推力に移行して超音速を維持するものである。

ジェットエンジン式航空機の黎明において、旧来の航空力学の限界を超える試みとして盛大に研究された。
「超音速」は技術者にとって一種の夢であり、また速度性能は重要な基礎研究課題でもあった。

しかし、1970年代以降の実用上の教訓から、超音速巡航は無用とされ始めた。
あらゆる航空機において、超音速性能はペイロードを非常に圧迫し、燃費を著しく悪化させた。
また、軍用機において、音速を超える域の速度性能は兵士の生還にほとんど寄与しなかった。

戦闘機は超音速でのドッグファイトに耐えうるような運動性を持ち得ない。
回避運動を取れず直進するだけなら、たとえ超音速であっても地対空ミサイルで撃墜可能である。
また逆に、ドッグファイトに移行するには減速が必要で、そうなれば超音速巡航性能は無意味だった。

ただし近年、ステルス技術の発達とともに復権の向きもある。
レーダーに捕捉されないのであれば、敵が空爆に対応できる時間は極めて短い。
従って、超音速巡航で迅速に転身すれば、敵が対応され交戦が始まる前に撤退する事が可能となる。


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