【中将】(ちゅうじょう/ちゅうしょう)

Lieutenant general(陸軍及び空軍)/Vice admiral(海軍).

軍隊における階級の一つで、将官に区分され、大将の下、少将の上に位置する。
NATOが定めた階級符号では「OF-8」に相当する。

嘗てフランス陸軍のGeneral de division の旧称はLieutenant-general*1 であり、3つ星の階級章が中将であった頃の名残である。
因みに、4つ星はGeneral en chef と呼称し、中将の役職に応じて付随する地位であった。*2
一時廃止されたが、後に「軍団長たる中将」*3の階級章として復活している。

また、スペイン語の中将を意味するとされるTeniente general は、アルゼンチン陸軍や1997年以前のスペイン陸・空軍では大将*4を意味するので注意が必要である。*5~

中将の階級に補せられた軍人は、軍種に応じ、主に以下のような配置を勤める。

陸軍
軍司令官、軍団長、師団長(准将の階級がない陸軍の場合)など
海軍
艦隊司令長官、戦隊司令官など
空軍
航空軍司令官、航空師団長など

日本における「中将」

大日本帝国陸軍または海軍での中将は大日本帝国政府の官僚制度で「勅任官」に相当する職とされているが、親補職*6にあたる職*7になると、その職位にある間に限り親任官と同等の待遇を受けた。
また、中将に任官された者には、政府から勲三等乃至一等の勲等が叙せられ、武功が著しいときは功三級乃至一級の金鵄勲章が授与された。

陸軍中将はおもに師団長、軍司令官などに、海軍中将は艦隊鎮守府、警備府の司令長官、戦隊、要港部(警備府の前身)*8司令官などに充てられていた。

その後の自衛隊においては、統合幕僚監部及び陸上海上航空の各幕僚監部の長(幕僚長)以外の陸海空将がこれに相当する。

陸将は陸上幕僚副長*9方面総監、師団長などに、海将は海上幕僚副長、自衛艦隊司令官、護衛艦隊司令官などに、空将は航空幕僚副長、航空総隊司令官・副司令官、航空方面隊司令官などに充てられる。

1986年まで、俸給表で指定職の適用を受ける「将(1)」とそれ以外の「将(2)」に分かれていたが、所謂、「将官減らし」*10と呼ばれる人員整理が行われたため、現在、将は全員指定職*11である。

規定により60歳で退官し、将の階級を最後に退官したものには瑞宝中綬章を授与される傾向にある。


*1 アンシャンレジーム期の頃のことである。
*2 Generalの後ろにユニット名を付ける表現法は、どっちにも取れるため曖昧になりがちで、訳すのに頭を悩ますところである。(階級符号の付記等の対策はある。) 
*3 1936年までGeneral de division commandant un corps d'armeeと呼称。
*4 Almirante-海軍大将と同格である。
*5 嘗てはチリ軍においても同様だったが、スペイン軍と同じGeneral de ejercito(空軍はGeneral del aire)になったため、今はTeniente generalという呼称すら使用されていない。
*6 本来、陸海軍大将をあてるべきところを中将をもってあてることができる職。
*7 参謀総長、軍令部総長、教育総監、総軍の総司令官、師団長など。
*8 戦隊司令官・要港部司令官は、中将・少将または大佐が充てられる。
*9 内局や海保、警察に比べ、幕僚副長のステータスの低さが見受けられる。殊に統合幕僚副長は三幕僚長と同格、三幕の副長も7〜8号俸が望ましい。
*10 これにあたってはイギリス軍の将官比率を参考にしたため、諸外国に比べれば依然として多い。
*11 それ以外の職についた場合、「将補(2)」の俸給が適用される。

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