【着氷】(ちゃくひょう)

Icing.

氷や霜が付着する事。
航空用語の文脈においても、着陸着水の類義語ではなく氷の付着を意味する*1
基本的には寒冷地での降雨・降雪で生じるが、高度が高ければ地図上どこでも生じうる。
特に、航空機が雲の中を通過すれば水滴・氷晶が付着して凍結する事は避けられない。

機械への着氷は、ほとんど全ての場合に以下のような故障を誘発する。

  • 金属・ゴムの強度が劣化し、微細な部品・酷使される部品の破損を招く
  • 液体燃料が凍結や成分変質を起こしてエンジンの故障を招く
  • 低温で化学電池が出力低下*2を起こす
  • 風防に付着した氷が視界を遮る
  • 計器・センサー類の表面が氷で覆われて正常に測定できなくなる
  • 翼に付着した氷が翼型を歪めて運動性を損なう
  • エンジンの外気吸入口が氷で塞がり、不完全燃焼から機関停止や爆発事故を招く

こうした事故を防ぐため、着氷が予想される状況では事前の防備が必要になる。
典型的にはヒーターなどで機体を温めておく、エンジンを停めず長時間アイドリングするなどが一般的。
航空機は運航中の応急整備ができないため、振動や収縮で氷を破砕する除氷装置を備える事もある*3
また、洗浄液の凍結による着氷を防ぐため、洗浄作業にも不凍液が用いられる。


*1 氷河の上に降りるのは「着陸」である。
*2 化学電池が電流を生み出す化学反応の速度は温度に左右される。
*3 高高度・長時間飛行を想定しない軽飛行機回転翼機では備えていない場合の方が多い。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS