【第一列島線】(だいいちれっとうせん)

1990年代以後、中国政府(中国共産党)が推進している海洋戦略構想。

かつて、中国軍は長大な国境線を接するソ連への備えから、戦力整備も陸軍・空軍が中心となっており、海軍のそれは沿岸防備レベルに留まっていた。
しかし、1991年のソ連崩壊に伴う米ソ冷戦の終結とそれに伴うロシアとの関係改善により、中国の「潜在的仮想敵国」は台湾(中華民国)を支援するアメリカへと替わり、それへの備えとして本構想が誕生した。

本構想は、千島列島〜北海道〜本州〜九州〜琉球列島〜台湾島〜フィリピン群島〜スラウェシ島〜ジャワ島〜スマトラ島に至るラインを対米防衛線と設定し、有事にはこの範囲内に制海権・制空権航空優勢)を確保して、米太平洋艦隊の進出を阻止することを目指すものである。
このため、中国政府はこの海域における海底資源や地形・水温などの海洋調査活動を精力的に続け、また、(航空母艦弾道ミサイル原潜の建造、新型戦闘機の開発といった)海軍・空軍兵力の近代化を積極的に推進しているが、この圏内は(中国の同盟国ではない)日本・台湾・フィリピン・インドネシアの領土及び領海であるため、これら各国は、自国の安全保障上重大な脅威となる中国の動きに神経を尖らせている。

当初、計画は「2010年頃までに達成させる」ものとされていたが、現在では「2015年までに…」と延長されている。

第二列島線

中国政府は「第一列島線」の構想が完成した後の戦略構想として「第二列島線」を用意している。
これは上記「第一列島線」から本州で分岐し、伊豆諸島〜小笠原群島〜サイパン・グアム〜パプアニューギニア〜オーストラリア大陸西岸を結ぶラインで、2020年までにこの範囲内で制海権・制空権を掌握できる体制を完成させ、そして、2040〜2050年代までに西太平洋・インド洋でアメリカに対抗できる海軍の建設を目指すものである。


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