【大陸間弾道ミサイル】(たいりくかんだんどうみさいる)

(Intercontinental ballistic missile ICBM)

弾道ミサイルの分類のひとつ。
戦略兵器制限交渉(SALT)の定義では、有効射程5,500km以上の弾道ミサイルを指す。

どこに配置されていてもほぼ大陸全土を射程に収める事ができ、配置によっては太平洋や大西洋越しにも届く。

その有効射程のために巨大なロケットエンジン燃料が必要で、弾体は非常に大きい。
このため、弾体をスパイ戦略偵察機偵察衛星などから隠蔽する事が難しい。
発射待機状態にない場合は地下格納庫兼発射筒(ミサイルサイロ*1に収められているのが普通。

現状で核戦争が発生した場合、ほとんどのICBMは既知であり、先制核攻撃で破壊される可能性が高い。
このため、近年の相互確証破壊戦略はICBMを先制核攻撃のためにのみに用いる事と割り切っている。

報復核攻撃については、より短射程の弾道ミサイル戦略潜水艦から発射する事としている。

既存の核保有国にとってはもはや軍事的価値が薄く、先進国での技術開発はより小型のミサイルが主流になってきている。
反面、新たに核を保有しようとする国家にとっては比較的に安価・安全に実装できる選択肢であり、発展途上国での秘密研究では未だ有力な選択肢である。

ミサイル自体を短射程で済ませようとすると、そのミサイルを射程圏内まで運ぶプラットフォームが別途必要になる。
しかし戦略爆撃機で敵警戒網をすり抜けるのも、戦略潜水艦を潜伏させるのも発展途上国にとっては現実的でない。


*1 ただしミサイルサイロ自体も隠蔽困難で、多くは既に発見済み。

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